「個性がそれぞれあって、その集合体というかね。それぞれ求めているものや、やりたいサッカーは違うのかもしれへんけど、でもみんな勝ちたいから、みんなで協力してる。そういうふうに見えた」

ブラジルに完敗し、試合後ピッチに座り込む　©︎Takuya Sugiyama

本田が実感した”ブラジルのすごさ”とは

――なるほど。

「たとえば長友（佑都）が攻め上がると、フッキが頑張ってついて行って守備をしていたしね。そこがブラジルの魅力。日本の出来がどうとかは関係なく、やっていてそこのすごさは実感したよね」

　今、ヨーロッパのサッカー界において最強と言われるのは、クラブならバルセロナ、代表ならスペインだろう。狭いエリアでもショートパスを精密機械のように正確につなぎ、相手を圧倒して点を奪う。

　だが、そういうサッカーに対して、本田はあまり魅力を感じていないらしい。2012年5月にこう語っていた。

「どちらかというと芸術性は昔に比べて減った。バルセロナも芸術的に見えて、あれほど合理的なものはない」

　それに対して、南米最強国のひとつであるブラジルは、各選手の個性がにじみ出ており、まったく異なる方法論で攻撃サッカーにトライしていた。ネイマールを筆頭に、個の技術がずば抜けている。そこに本田は興味を惹かれたのだ。

　そして、それは日本サッカーが目指すべき未来像のヒントにもなる。

＜後編に続く＞

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