『キープする本田』『試合、出ましょか？』ドイツ戦の“痛恨ミス”「素晴らしい切り返しに救われた」寺川アナが選ぶNo.1ホンダ解説は？

――試合を振り返っていくと、ドイツ戦での「キープする本田」発言が印象に残っています（笑）。

寺川俊平アナウンサー（以下、寺川アナ）　私が久保建英選手に対して「（ボールを）キープする本田」と言ってしまい、すかさず本田さんが「出た方がいいですかねえ。試合、出ましょか？」と返してくれたシーンですね。これには理由があるので、ぜひ記事にしてください（笑）。

　まず、本田さんには感謝しかありません。あの素晴らしい切り返しに救われました。あそこで「何を言っているんですか」と言われていたら、そこから先、私はしばらく消えていたでしょう……。

「キープする本田」発言を弁明する寺川アナ　©︎Atsushi Tokumaru

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　実況アナウンサーは常に次の展開の予測をしながらピッチを描写しなければいけません。これはできて当たり前の作業なのですが、本田さんは話す量や気づきの量が多い方でしたので、その発言を一般化することに頭を費やしていました。さらにその中で本田さんに聞きたいことを選択肢の中から選び、そして聞き方を考えます。つまり、頭が埋まった状態でピッチのプレーを描写していた、気づいたら「ピッチで本田選手がボールをキープしていた」というわけです……はい、言い訳です（笑）。

――ミスに気がついた時は頭が真っ白に？

寺川アナ　いえ、すぐに言い直さなきゃいけないという意識でしたので謝りました。おそらく実況では「本田さんと言おうと思って……」と言っていますが、これも少し言葉が足りていないですね。「本田さんに何かを聞くために『本田さん』と呼びかけようと思っていたら、久保選手のことを『本田』と言ってしまいました」が正解です。

　ただ、本当に本田さんは頭の回転が早い方で、話がどんどん進むので実況者としてはとても楽しいんです。ジェットコースターに乗っているくらい、気持ちいいし、面白い。それについていくために私の脳内もフル回転させていたんですが、その時ばかりはオーバーヒートしてしまいましたね。許してください（笑）。

ドイツ撃破の瞬間でも“鬼の切り替え”

――頭の回転で言えば、ドイツ戦に勝利した後も本田さんはすぐに次戦に向けたコメントを残しています。

寺川アナ　あの切り替えの速さには驚きましたよね。私は「ここで試合終了のホイッスル！」と興奮して叫んでいましたが、本田さんに「落ち着こう」と言われて「はい」とすぐ座る。この繰り返しです（笑）。日本が目指しているのはこの1勝ではないよね、まだ1試合目だよね、と私自身も気づかされましたし、観ているみなさんもそう思ったと思います。感覚はやっぱり“選手”であり“監督”なんです。

多くの人たちが興奮していただろうドイツ撃破の瞬間。しかし、本田圭佑はすぐに次戦を見据えるコメントを発した　©︎Takuya Sugiyama/JMPA

　正直なところ、本来ならもう2、3フレーズ分くらいは私の出番があってもよかったと思いますが（笑）、あの瞬間は現役時代の感覚に戻されました（※寺川アナは早稲田大学サッカー部に所属、GKとしてプレーしていた）。

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