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本田圭佑が10年前、ブラジル戦完敗後に語っていた”それでも世界一を目指す理由”…「なんか嬉しくなる気持ち、わからへんかな?」
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/01/15 11:00
2012年10月のブラジル戦で0-4の完敗を喫するも1トップとして存在感をみせた本田圭佑。W杯優勝の目標はブレていないと語っていた
10月18日、ブラジル戦から2日後、CSKAの練習場に足を運ぶと、本田は移動の疲れもまったく感じさせず、パス回しで軽快な動きを見せていた。Aマッチに出場した選手は途中から別メニューになり、本田はセルビア代表のトシッチとともにランニングで汗を流した。
ピッチから出て来た本田に声をかけた。
「どうしても聞きたいことがあって、またモスクワに来た」
思わず本田の口元が緩む。苦笑いだ。実は9月下旬から計7回も、CSKAの練習場を訪れている。誰だって、苦笑いするだろう。
モスクワのダークグレーの曇り空の下、取材がスタートした。
負けたのに、希望を感じた
――ブラジル戦は負けたのに、すごくおもしろかった。それは希望を感じられたからなのかなと思った。本田くんも感じた?
「希望を感じた。そんなの当たり前で、自分が過去に見た日本代表の試合に限られるけど、あれだけの内容でブラジルとやりあえるって今までなかったからね」
――ガチンコで挑んで、いい勝負をしていた。
「それがやっぱり楽しかった理由やし、それをやるためのフランスとブラジルとの試合やったから。まあフランス戦は出れへんくて残念やったけど」
ひと呼吸置いて、本田はフフフと笑いながら断言した。
「次はブラジルに勝つよ」
――実際にブラジルの力はどうだった?
「純粋にうまいと思ったよね。オレらよりベターだったのは間違いないし、そこを今の時期に再確認できたのが何より良かった。(日本サッカー)協会の取り組みには感謝してる」
――以前、バルセロナはパスが正確だけどリスクを負わず、やや無機質でつまらない部分があると言っていた。それに対して、ブラジルは有機的なうまさがあるように思った。
「さすがW杯の優勝回数が一番多い国やなっていうのは感じる。今までのブラジルに比べるとタレントって少ないと思うんですよね。ヨーロッパでやってる選手も少ない。それでも、うまかったから。うち(CSKA)の右サイドバックもブラジル人やけど、ブラジルの選手っていうのはサッカーがうまいよね」
――もう少し詳しく言うと?