まず、立ち上がりにひるみがない。

　高校時と変わらず188cmの身長を利用した角度とホップ成分を帯びたアベレージ145キロ前後の速球。打者がボールの高低を見誤り、ボールの下を振ってファールやフライにしている。

　左打者のヒザ元を突くタテのスライダーのコントロールが抜群。これは、高校時代から変わらない。カウント球にも勝負球にも使っているカーブは、落差とスピード感十分で三振を奪える。そこにツーシームかスプリットか、130キロ台の高速沈む系だ。投球のバリエーションを豊富に使える「先発タイプ」だ。

　それ以上に感心するのが、「入りの隙のなさ」。イニング最初のボールの用心深さと、打者の初球のきびしさだ。

　上位打者には、勝負球から入っても投手優位のピッチングを体現しようとする姿勢は、他の投手も見習ってよい高度な「実戦力」だ。

◆◆◆

　東都には、同じ「西舘投手」で、150キロならいつでも投げる中央大・西舘勇陽投手がいて、本人もライバル視しているかもしれないが、もう1人、同じ関東に強く意識している存在があるはずだ。

　上武大・進藤勇也捕手（3年・182cm86kg・右・筑陽学園高）。高校時代、共に超高校級バッテリーとして注目された強肩・強打の女房役だ。侍ジャパン大学代表の一員として国際試合を経験して、「2023ドラフト」でも主役の1人と目されている。

　進藤捕手についても、この先、突っ込んだところを取り上げることになりそうだ。

　人材不足かな……とも言われた今季も、十分に充実したシーズンとなった。そして逸材倍増の気配のある2023年。来年も忙しい年になりそうだ。次回は「社会人球界」の1位候補について、「ちょっと早すぎるレポート」をお読みいただければと思っている。

＜社会人編へ続く＞

#2に続く

“ちょっと早すぎる”2023年ドラ1候補ベスト3《社会人編》…プロ野球スカウトの証言「彼は明治大のときも上位指名ならプロ入りでしたから」