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プロ野球スカウトが興奮した青学大ピッチャー「彼はスーパー1位ですよ!」“ちょっと早すぎる”2023年ドラ1候補ベスト3《大学生編》
posted2022/12/30 11:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
◆◆◆
大学・社会人球界では、早くも来秋のドラフト1位候補と目される快腕・剛腕たちが登場し始めている。
今回は「ちょっと早すぎる2023年ドラフト1位候補レポート」を敢行することになった。
もちろん、「早かろう、拙かろう」ではない。現実の姿と将来の可能性を紡ぎ合わせた自信のレポートであることは間違いない。
まず、「大学生編」からだ。
スカウト「彼はスーパー1位ですよ!」
■大学生編【1】常広羽也斗投手(青山学院大・3年)
雨やら何やらで、もつれにもつれたこの秋の東都大学リーグ。春は4位だった青山学院大が、最後まで優勝争いに加わったのは、投手陣の奮闘も大きかった。
思い切りのよさ、抜群の腕の振りから、クロスファイアーで懐を突ける左腕・北村智紀(4年・175cm73kg・左投左打・龍谷大平安高)に、右ヒジ故障から復活した150キロ右腕・下村海翔(3年・174cm73kg・右投右打・九州国際大付)。そこに、先発にリリーフにフル回転で奮投した【1】常広羽也斗投手(青山学院大・3年・180cm73kg・右投右打・大分舞鶴高)の「快速球」にはグッとくる。
リリーフのマウンドに上がって、その初球から右打者の外角低めに「150キロ」をビシッときめる。それだけでも、胸がスーッと晴れるのに、フォークなのか、チェンジアップなのか、打者のタイミングを外しながら追い込む。そしてさっきの外角低めに、今度は「151キロ」をバーンときめて空振りの三振に切ってとって、爽快感満点のピッチング。
ここ一番の場面で、中央大の強打コンビ・森下翔太(外野手・阪神1位)、北村恵吾(内野手・ヤクルト5位)を迎えても、内角を149キロで攻めてバットを粉砕したり、150キロ前後の速球とフォーク系の3球勝負で打ちとったり。追い込んだ後も、勝負球で力んでふかした(高く抜ける)ようなボールがない。体の使い方の強弱、指先感覚が素晴らしいのだろう……右打者の外角低めに構えたミットを動かすことなく、ピシッときまる痛快な「アウトロー」のバックスピンとコントロールは、すでにして「プロのボール」だ。