サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「(三笘)薫は冷たいシャワーを浴びている」日本代表・守田英正が語る“試合当日のルーティン”「カフェインで脳をギンギンにする」
text by
守田英正Hidemasa Morita
photograph byGetty Images
posted2022/12/01 17:03
コスタリカ戦でW杯デビューした守田英正。高校時代は“無名選手”だったという守田はどんな方法でステップアップしていったのか?
僕はスポルティングに加入し、ウルグアイ代表のマヌエル・ウガルテとボランチの座を争っていました。ウガルテは腰を痛めて本調子ではなく、僕が一歩リードしました。
開幕前の最後の紅白戦、ここが勝負どころだと考え、試合の感覚に近づけるためにカフェインを入れてピッチに立ちました。
監督を納得させられたのでしょう。僕は開幕戦を先発で迎えることができました。
「(三笘)薫も冷たいシャワーを浴びている」
頭をクリアにするために、他にもルーティンがあります。
スタッフに氷が入った袋を3つ、4つ用意しておいてもらい、ウォーミングアップ後、それをおでこ、首筋、両脇、膝裏に当てて冷やすんです。
ウォーミングアップで体温が上がるのはいいんですが、上がりすぎるのが嫌なんです。
めちゃくちゃ冷やして1回リセットします。ハーフタイムにも同じことを繰り返します。
冬でもやるし、クラブだけでなく日本代表でもやっています。
これに似たことを始めたのはフロンターレ時代です。
当時はロッカールームに着いたらまずシャワーを浴び、ウォーミングアップ前に水風呂に入って、頭まで浸かって体を完全に起こしていました。
それを見た長谷川竜也くん(現横浜FC)からこう言われました。
「冷たい水を一気に浴びると、交感神経が働き、目が覚めていいらしいよ」
最近、日本代表で(三笘)薫と話していたら、試合当日、ホテルを出る前に冷たいシャワーを浴びていると言っていました。きっと似た効果を感じているんだと思います。
ポルトガルではスタジアムによっては水風呂がないため、氷を使うやり方に切り替えました。アイシングのために、ほぼすべてのスタジアムに氷は用意されているので。
僕は試合ではほぼ緊張せず、前日に寝られなかったこともありません。メンタル面の準備に不安はありません。
ただし、どれだけメンタル面でいい準備ができても、本番のときに脳がどんな状態になっているかは別なんです。ここまで書いてきたように、集中しすぎて脳がオーバーヒートすることがあります。
つまり「集中の精度」をチューニングすることが、僕にとっての試合の準備なんです。
もし試合に惨敗したとしても、自分が持っている力をすべて出した結果なら、シンプルに実力不足ということ。その「跳ね返り」を次に生かせばいい。
しかし、持っている力を出せる状態になっていなかったら、それは完全に自己責任です。
僕は後者になるのがすごく嫌です。
今後も僕はぎりぎりのところを攻めながら、脳にアプローチし続けていくつもりです。
<続く>
守田英正(もりた・ひでまさ)
1995年5月10日、大阪府生まれ。金光大阪高から流通経済大に進み、2018年に川崎フロンターレ加入。1年目から定位置を確保し、2度のリーグ優勝に貢献。2021年にポルトガルリーグのサンタ・クララに移籍。2022年に同国の名門クラブ・スポルティングへ。2018年9月に代表初招集され、2021年に定着。日本代表17試合出場、2得点。177cm、74kg