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三笘薫はなぜ「アジア版バロンドール」を獲得できなかったのか? 日本人唯一の投票者の見解《1位ソン・フンミン、5位三笘、6位鎌田、7位堂安》
posted2023/02/18 17:11
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
2月6日、アジア版バロンドールともいえるベスト・フットボーラー・イン・アジア(以下BFA)が発表され、韓国代表でトッテナム・ホットスパーに所属するソン・フンミンが、2022年のアジア最優秀選手に選ばれた。ソンの受賞は6年連続8度目で、2位のメフディ・タレミ(イラン/FCポルト)に大差(256ポイント対120ポイント)をつけての圧勝だった。
2位以下はタレミ、サレム・アルドサリ(サウジアラビア/アル・ヒラル、112ポイント)、キム・ミンジェ(韓国/フェネルバフチェ→ナポリ、99ポイント)と続き、日本人では三笘薫の5位(91ポイント)が最高で、6~8位が鎌田大地(68ポイント)、堂安律(47ポイント)、冨安健洋(37ポイント)、10位に遠藤航(18ポイント)と、5人がトップ10にランクインした(9位はティーラトン・ブンマタン(タイ/ブリーラム)で21ポイント)。11位も古橋亨梧(14ポイント)である。
投票前に主催者であるタイタンスポーツ(中国)から送られてきた25人の候補者リストには、7人の日本人(残るひとりは前田大然)が名を連ねていた。もちろん最多である(続くのは韓国の4人)。だが、投票結果は、表彰台(トップ3)を逃したばかりか、トップ5にもようやく三笘が入るにとどまった。これはどういうことか
本家のバロンドール(フランスフットボール誌主催)もそうだが、ワールドカップイヤーの投票は、2018年の受賞者がルカ・モドリッチであったように、W杯での活躍度合いが投票に色濃く反映される。これから投票がおこなわれる2022~23年シーズン(バロンドールは前回から暦ではなくシーズンで期間を区切るようになった)は、悲願のW杯制覇を果たしたリオネル・メッシが、キリアン・エムバペを抑えて自身の受賞最多記録を8回に伸ばすだろう。
ベスト3に日本人がいない理由
では、なぜ日本勢は、上位に食い込めなかったのか。
2013年に始まったこの表彰は、今回で10回目を迎えた。第1回の受賞者は本田圭佑だが、他には第4回(2016年)に岡崎慎司が受賞したのみで、あとはすべてソンが栄誉を独占している。賞そのものが彼のためのものともいえるし、アジアサッカーのこの10年が彼の時代であったことを、この結果が如実に示している。
ちなみに筆者も第1回から投票に参加しているが、ほとんど毎年のようにソンを1位に選び続けた。岡崎が受賞した2016年も、1位にはソンの名を記したと記憶している。昨シーズンの彼は、プレミアリーグ得点王に輝いた。アジア人初の快挙であり、所属するトッテナムをCL出場に導くなど、十分に受賞に値するパフォーマンスであった。