川崎から世界へ、谷口彰悟が受け継いできたもの

　また、環境などのハード面だけでなく、「チームを包む雰囲気も大きいのではないか」と向島が続ける。

「練習に呼んだときに、ほとんどの選手は『雰囲気がよかった』と感想を言ってくれます。『他のチームでは全然声をかけてもらえませんでした』と言われることもありました。高校生、大学生を問わず、性格も含めて“魅力ある選手”を選んでいますし、『こういうチームにしたい』というコンセプトが明確なので、共通したパーソナリティを持つ選手の集団になったのだと思います。ウチの強みやチームカラーを理解してもらって、最終的には本人が決めて入ってくる。そのサイクルはずっと同じですね」

川崎フロンターレのキャプテンとしてチームを牽引する谷口彰悟　©Etsuo Hara/Getty Images

　新加入選手にとって心地よい雰囲気を作るのは、長くクラブにいる選手たちである。

　過去には伊藤宏樹や中村憲剛、現在でも小林悠、登里享平、安藤駿介、大島僚太らの存在がそれにあたり、彼らがクラブの日常とそのカラーを受け継いできたとも言える。だからこそ、向島は人間性も重視して選手を獲得してきた。そして2020年からキャプテンマークを巻いている谷口彰悟もまた、その雰囲気を作り出す重要な1人となっている。

　チーム自慢のリーダーは、31歳にしてW杯の舞台にまでたどり着いた。大卒選手であり、国内組でもあるプライドを胸に抱いて、そして何より川崎フロンターレで受け継いできたものを表現するために、夢の舞台のピッチに立つ。

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