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オリックスのMVP男“ラオウ”杉本裕太郎が「ヒョロヒョロの青学ボーイ」だった頃…恩師が語る愛すべき「バカヤロウ伝説」
 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/11/07 11:01

オリックスのMVP男“ラオウ”杉本裕太郎が「ヒョロヒョロの青学ボーイ」だった頃…恩師が語る愛すべき「バカヤロウ伝説」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

日本シリーズMVPに選ばれ右腕を突き上げる杉本。後ろの広告看板の通り「レジェンド」になった?!

 大学4年時に進路を決める際には、プロ入りを信じて疑わない杉本をたしなめ、社会人野球入りを勧めた。

「お前な、プロは獲りにくるものなんだぞ。行きたいって言っても相手がなきゃ行けないんだ、と諭したことを覚えています。裕太郎は最後までこだわって、しぶしぶ社会人行きを決めたんですが、実際プロはどこからも話がなかったですからね」

「正尚の結婚式で……」忘れられない杉本の姿

 JR西日本を経て、2016年にドラフト10位でオリックスに入団。プロ入り後もなかなか芽が出なかったが、5年目の20年途中に二軍監督から一軍監督代行に昇格することが決まった中嶋聡監督から「一緒に行くぞ」と声をかけられ、ブレークの道が拓けたことはあまりにも有名だ。

 河原井氏は、2019年のオフに出席した吉田の結婚式での杉本の姿が忘れられない。オリックスの主力選手や柳田悠岐(ソフトバンク)ら、球界の錚々たる顔ぶれの出席者のなかで、“覚醒前夜“の杉本は大きな体を小さくしていた。

「出席者のなかでも一人だけ影が薄くてね。私も結婚式(の挨拶)で裕太郎の話には触れられなかったです。一軍と二軍を行ったり来たりだったから、あの頃の裕太郎はちょっとクサっていたかもしれません。当たれば飛ぶけれど、大ざっぱだから三振の仕方が悪い。いつ二軍に落とされるのか、と小さくなってしまって、なおさら結果が出ない悪循環に陥っていたように思います。そんな選手を我慢して使ってくれる監督は、10人に1人くらいしかいない。だから裕太郎は、中嶋監督に感謝せないかん。今があるのは本当に中嶋監督のおかげですよ」

 その吉田と杉本が再びクリーンナップを組み、日本シリーズの晴れ舞台で活躍する姿を見るのは、河原井氏にとってこの上ない喜びだ。

「やっぱり嬉しいですよ。よくベンチで並んで話していたりするし、二人は本当にいい関係性だと思います。裕太郎は(後輩の)吉田のことを“正尚センパイ”って呼んでいるんです。正尚は本当にきっちりしていますからね」

 お茶目な愛されキャラの杉本とは好対照に、河原井氏が「必ず結果を出す男」と評するのが吉田。稀代のスラッガーは、青学時代から驚異的な才能の片鱗を見せていた。

《後編へ続く》

#2に続く
「おい、今の見たか?」名将が絶句したオリックスの主砲・吉田正尚18歳の弾道 青学大時代から温め続けたメジャーへの思いとは

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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