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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「おい、今の見たか?」名将が絶句したオリックスの主砲・吉田正尚18歳の弾道 青学大時代から温め続けたメジャーへの思いとは
posted2022/11/07 11:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Hideki Sugiyama
オリックスを26年ぶりの日本一に導いた主砲、吉田正尚。第5戦に放った劇的すぎるサヨナラ2ランは、2022年日本シリーズのハイライトシーンとなった。今や日本の主砲ともいえる稀代のスラッガーの原点を、青学大前監督の河原井正雄氏に聞いた。〈全2回の2回目/#1へ〉
日本シリーズ第5戦の9回裏、土壇場で4-4の同点に追いつきなおも2死一塁。マクガフの高めに浮いたスプリットをフルスイングで捉えた吉田正尚の一撃は、大きな放物線を描き京セラドームの5階席へと着弾した。
「さすがに私も鳥肌が立ちましたよ。打った瞬間に正尚が右手を上げたんですけどね、その後ろの観客席が全員、大歓声とともに総立ちになって打球の行方を見つめていた。あの光景を見たらもう……なんとも言えない思いになりました」
青学大監督として東都大学リーグ優勝12回、大学日本一は4回。小久保裕紀(ソフトバンク二軍監督)、井口忠仁(前ロッテ監督)ら多くのプロ野球選手を送り出してきた。そんな海千山千の名将をも「驚きましたね」と唸らせた逸材が、18歳の吉田だった。出会いは2010年の秋、敦賀気比高のグラウンドだ。
「天気が悪くてグラウンドが使えない状態でしたが、私が見に来ているから、と吉田が一人でずっとバッティングをしていたんです。一目見て、これはいい、ちょっと他にはいないぞ、と思いました。聞けば、青学へ進学希望だという。本当にうちに来てくれるんですか? 本当に? ってな感じですよ。これはいけるぞ、よし! と思いました」