ドラフトの日、息をのむような思いで、4位・門脇誠（内野手・創価大）の指名の行方を追いかけていたある社会人強豪チームの監督さん。もし指名がなければ……そんなスタンスで加入を待ちながら、中継の画面を見つめていた。

「肩は天下一品。盗塁もできるし、ミートポイントをしっかり作って強く振れる。そりゃあ欲しかったですけど、それほどの選手ですから、プロも放っておくわけない。巨人は柏田（貴史スカウト）さんがすごく熱心でしたから」

　プロで幸せな野球生活を送ってくれればいいんです……言葉の最後がちょっとにじんで聞こえていた。

　育成3位で聞こえてきた「吉村優聖歩、明徳義塾高」のアナウンス。

　この夏の甲子園でも活躍したが、大会後のU18メンバーに追加招集された。選ばれていた仙台育英高の左腕・古川翼投手の体調不安によって舞い込んだ国際大会行き。その大会での好投の連続が、「人生」を変えたんじゃないのか。プロ志望届が報じられたのも、締め切り2日前。急な方向転換が想像できる。 

　インステップからの左サイドハンド。130キロちょっとでも、打ちにくさと体感スピードなら「超」の付く一流だろう。スクリューでタイミングを外しながら、中継ぎの切り札だった左腕・中川皓太のような「未来予想図」を描いたりできる個性派では……と期待する気持ちが高まっている。

＜西武・阪神・ホークス編へ続く＞

#3に続く

ドラフトウラ話…記者の本音「ホークスドラ2に正直驚いた…勝てる投手の“緊急指名”だ」ドラフト全指名を検証する《西武・阪神・ホークス編》