マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフトウラ話…巨人4位指名に“ある社会人チーム”「ウチに欲しかった…巨人は熱心でした」ドラフト全指名を検証する《広島・楽天・巨人編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2022/10/30 17:06
楽天1位指名の荘司康誠投手(立教大・189cm86kg・右投右打)
5位・平良竜哉(内野手・NTT西日本)の突き抜けた明るさとエネルギッシュな走攻守は、比較的大人しめの選手が多く見える楽天にとって、池に投じられた「小石」になれるのではないか。
145キロ前後の速球もあるが、沈む魔球のような球種を持つ3位・渡辺翔太(投手・九州産業大)と、サイドハンドからの猛烈な腕の振りで打者の懐を快速球と滑りの大きなスライダーで突く4位・伊藤茉央(投手・東農大北海道)は即戦力ではなくても、楽天投手陣にいないタイプ。今年、ファームで台頭した高田孝一(2年目、11勝2敗・防御率2.25)と松井友飛(1年目、6勝1敗・防御率1.17)……本格派右腕2人を育てた育成プログラムで、2年目、3年目を迎えてくれたらいい。
驚いたのは、育成4位・永田颯太郎内野手(178cm74kg・右投左打)の「台湾体育運動大学」だ。支配下ドラフトが終わって育成の終わりごろ、「今年も100%カバーできたかな……」と安心しかけた解説席で、この「台湾」と「テキサス(日本ハム育成3位の山口アタル)」が出てきて参った。
高校が菊華高(愛知)と知り、思い当たることがあって連絡したら、
「3年間、担任もやってましたよー」
と、懐かしい声が返ってきた。やっぱり……。
永田遊撃手が高校時代に指導を受けた渡辺伸一監督(現・精華高コーチ)だ。私が北海道栄高監督時代からお世話になっている方だ。
「肩は間違いなく一級品です。足もあるし、守りは高水準。練習熱心だし、性格もほんと誠実な好青年です。台湾体育運動大は菊華高の提携校で、向こうに行ったんですけど、帰ってくるたびに連絡くれるヤツです。応援してください」
外国の高校、大学の生徒、学生であっても、日本国籍である以上、ドラフトで指名しなければ、プロ野球に進むことはできない。私たちの「守備範囲」も広がるばかりである。
巨人4位指名に“ある社会人チーム”「ウチに欲しかった」
【巨人 ドラフト指名選手(※支配下)】
1位 浅野翔吾 17歳 外野手 高松商高 171cm86kg 右投右打
2位 萩尾匡也 21歳 外野手 慶應義塾大 180cm85kg 右投右打
3位 田中千晴 22歳 投手 國學院大 189cm85kg 右投右打
4位 門脇誠 21歳 内野手 創価大 171cm76kg 右投左打
5位 船迫大雅 26歳 投手 西濃運輸 174cm74kg 右投左打
2位で萩尾匡也(外野手・慶應義塾大)が指名された時、フッと思った。
「巨人は浅野を内野手で使おうとしてるのかな……」
12球団最速1位公表の浅野翔吾(外野手・高松商高)には、永遠のライバル・阪神が「そうはさせじ!」と指名を重ねてきたが、抽選で一蹴。もしやられていたら、相当折れていただろう。
浅野翔吾は高校生でも、限りなく「一軍戦力」に近い能力の持ち主だ。ヒット、ホームランになりそうなボールだけを探し、気負いなくジャストミートで結果を出せる技術は、すでにプロの「スキル」と見る。あとは、プロのスピードにどんなタイミングで慣れてくれるのか……その一点だろう。
エース格として今秋リーグ戦優勝に輝いた3位・田中千晴(投手・國學院大)、今の流れだとやはりリーグ戦制覇と三冠王獲得濃厚の2位・萩尾匡也。実力、将来性といっしょに、今のジャイアンツにちょっと足りない「勝ち運」まで引っ張ってきてくれそうな学生球界の好素材たちだ。