敗れたとはいえ、出雲でも青学大の4年生は仕事をした。原監督はその部分は評価する。

「学生スポーツにおいては、やはり4年生の存在が大切ということでしょう。1区の目片（将大、区間3位）、2区の横田（俊吾、区間4位）、3区近藤（区間3位）、6区の中村（唯翔、区間3位）と自分の仕事はしていますから」

　全日本で復帰予定の岸本は、「箱根駅伝では4年生10人でチームを作ることも可能だと思うんですよ。でも、下級生が黙ってないと思いますが（笑）」と話していたが、上級生の安定性という意味では、4年生2人、3年生3人、1年生1人で勝った駒大と、青学大が双璧ということになる。

　加えて、青学大はエースの近藤が復活したのが大きい。箱根駅伝が終わってから故障に苦しみ、練習を再開したのは7月に入ってからだった。しかし9月に日本インカレでは見事に5000mで優勝し、復調ぶりをアピール。今回も3区を走り、田澤とはわずか1秒差での区間3位。ゲームチェンジャーたる実力を見せつけた。原監督はいう。

「みなさん分かっとるはずだけど、近藤は大学長距離界を代表する選手ですよ。留学生や田澤君と走ることが多いので、区間賞はなかなか取れませんが、近藤の存在なくして、青学はありませんからね」

青学大のエース・近藤幸太郎（4年）。3区を走り、駒大・田澤廉（4年）に1秒差の区間3位と実力を見せた　©Nanae Suzuki

　打倒・田澤は、近藤の悲願でもある。全日本のエース区間とされる7区でふたりの再戦が見られるならば、今年は近藤が先着するチャンスもあると見る。そしてふたりの戦いが、そのまま駒大と青学大の順位に直結するはずだ。

　ゲームチェンジャーと、頼りになる4年生がいる両校の鍔迫り合い、そして虎視眈々と全日本に照準を合わせる国学院と中央。

　11月6日の全日本は、見どころが多いレースとなりそうだ。

＜中大編に続く＞