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冨安健洋のアーセナルは“ハイレベルなDF出世競争” マンUが悩む“盛りの過ぎた37歳クリロナ問題”《プレミアBIG6最新序列・布陣》
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph bySports Graphic Number/Getty Images
posted2022/08/13 11:01
プレミア2年目も活躍が期待される冨安健洋。トッテナム、アーセナル、ユナイテッドの陣容・序列はどんな感じ?
アーセナル:冨安は右SBでもCBでも激しい定位置争いか
瑞々しい若手が主体のチームは昨季、確かな進歩を見せたものの、終盤の失速で5位となりCL出場権を逃した。それでも長期的な発展を望むフロントは引き続きアルテタ監督を支援し、早い段階でガブリエル・ジェズス、オレクサンドル・ジンチェンコという即戦力を獲得。どちらもシティで完全なるレギュラーとは言い難くなっていたが、選手としての絶頂期をこれから迎える一線級だ。
しかもシティでコーチを務めていたアルテタ監督とは旧知の仲でもある。2人ともすんなりとチームに馴染み、前者は5試合のプレシーズンマッチで7得点を記録し、後者はクリスタルパレスとの開幕戦で先制点をアシストしている。敵地で2-0と白星発進したその一戦にはどちらも先発して、それぞれに1トップとレフトバックで高いクオリティーを示し、今後に期待を抱かせた。
開幕戦で負傷離脱中の冨安健洋は欠場し、ライトバックにはベン・ホワイトが入り、安定した守備と的確なパスを披露。状態が戻れば、冨安にチャンスは回ってくるはずだが、ホワイトの本来のポジションであるCBでは、ローン先のマルセイユで急成長して戻ってきたウィリアム・サリバが、主戦のガブリエウ・マガリャエスの相棒に名乗りを挙げており、右でも中央でも激しい定位置争いが繰り広げられそうだ。
その後ろに構える守護神アーロン・ラムズデイルは、初戦から信じがたい反射神経でスーパーセーブを披露し、早くもクリーンシートをマークしている。
25歳以下の有望株がズラリと並ぶ
2列目には左からガブリエウ・マルチネッリ(今季プレミアリーグの初得点を決めた)、マルティン・ウーデゴール、ブカヨ・サカと昨季から馴染みのあるアタッカーが配され、攻撃時には相手が予測しにくいコンビネーションや各々の高いスキルで打開を図り、守備時には統率されたハイプレスで敵の自由を奪った。充実するこのエリアには、エミル・スミス・ロウや新戦力ファビオ・ビエイラも控えている。
ここまで名前を挙げた選手は全員が25歳以下で、中盤の底に入ったトーマス・パーティーとグラニト・ジャカにしても30歳の大台の手前だ。そのポジションの片側を任せたいユーリ・ティーレマンス──こちらも25歳だ──をレスターから迎えることができれば、夏の補強は満点の評価となるだろう(今夏の移籍期限は現地時間9月1日23時)。
いずれにせよ、2016-17シーズン以来のチャンピオンズリーグへの復帰は至上命令だ。3強に加え、直接のライバルとなりそうなトッテナムも大型補強を施しており、困難には違いない。それでも伸びしろの大きなチームが一気に飛躍すれば、4位入賞は十分に可能なはずだ。