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世界の頂点に君臨し続けるオランダの超人ハリー・ラブレイセンと日本のエースの太田海也「絶対王者から学ぶこと」《ケイリン国際対談②》

posted2026/07/17 11:00

 
世界の頂点に君臨し続けるオランダの超人ハリー・ラブレイセンと日本のエースの太田海也「絶対王者から学ぶこと」《ケイリン国際対談②》<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ハリー・ラブレイセン(左)と太田海也

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

超人が見せる異次元の走りとの対決は、迎え撃つ日本競輪界の今後の試金石となる――。

――日本の競輪と国際的なケイリンとでは様々な違いがありますが、ラブレイセン選手はどのように対応されていますか。

ラブレイセン(以下HL) 自転車の仕様などが違うことは知っていましたが、実際に試してみると普段国際試合で使用しているものとの違いを実感しました。ただルールの違いなども含め、日本の競輪を知ることは意味のある経験だと捉えていますし、新しい挑戦は楽しいです。それに日本は競輪の発祥の地でもあるので、この挑戦は特別なものだと思っています。

太田 「競輪」と「ケイリン」は、力の伝え方やトップスピードまでの持っていき方も異なるので、自転車の違いは大きいですし、難しさを感じる面もあると思います。そんな中でラブレイセン選手をはじめ、(マシュー・)リチャードソン選手、(ジョセフ・)トゥルーマン選手がどんな成績を残すのか楽しみです。ただ、僕らは日頃から競輪のレースに出走していますから、そのアドバンテージを十分に活かしたレースをお見せしたいですね。

――アテネ五輪の男子スプリント銀メダリストのテオ・ボス選手やリオ五輪の男子ケイリンで銀メダルを獲得したマティエス・ブフリ選手など、過去、同じオランダの選手が日本の競輪に参加されています。

HL 両選手とも日本でも勝利を収めているのですが、特にテオからは国際試合で顔を合わせる他国の選手と一緒に過ごすのも楽しいし、日本の競輪がすごくいい経験になったといろいろ聞いていたんですよ。

太田 今回、国際的なケイリンの大会でも対戦している海外の選手が来日してトレーニングしたり、競輪ワールドシリーズに参加してくれることは、日本の競技レベルアップにもつながる機会になると思います。ただ、ありがたい反面、対戦しなければならないので厄介な“敵”がくるという気持ちもありますね(笑)。

――日本の競輪の“先輩”からアドバイスするとしたらどんなことでしょうか。

太田 自転車に慣れるのも大変だと思いますが、日本の競輪のレースは駆け引きの中でスピードと密集が重なって選手同士の接触が多くなります。そこは気をつけてもらいたいですね。それにライン戦では相手が技術でスピードを抑えこんでくる。ぜひ体感してもらいたいです。

HL 先行してスピードがあったとしても、国際的なケイリンとは競技場の大きさや仕様も異なっているので簡単にはいかないと予想しています。もちろん他の選手も強いということを常に頭に入れながらレースに臨みたいですね。

太田 ぜひ日本の競輪の洗礼を受けてほしいし、僕らは「日本の競輪選手も(海外の選手に)勝てるじゃん!」というところを見せたいですね。

――国際的なケイリンの舞台でお二人は2023年以降、何度か対戦していますが、お互いの強みや特徴をどのようにご覧になっていますか。

HL 海也には4月のワールドカップ第2戦(香港)のスプリント準々決勝で負けましたからね。敗れたのは確か2023年のトラックネーションズカップ第2戦のスプリント準決勝以来だったと思います。すごく強かったですし、トップスピードも速く、回復も早いという印象が強いです。

太田 アスリートの能力を可視化した五角形のチャートがあったら、ラブレイセン選手はそのすべてが最大値まで振り切れている。トップスピードを長い時間維持できるのが最大の武器で、ここ2、3年、弱点はどこか探っているのですがまったく見つからないんです。非の打ち所がない教科書通りのようなレーススタイルで圧倒的な身体能力も兼ね備えている。4月のワールドカップのスプリントで勝つことはできましたけど、それでも勝てる確率はまだまだ低いです。背中はまだ遠いです。

HL 世界には力のある選手が多数いますが、その中でも海也は最も速いスプリンターの一人。だからライバル意識もありますし、常に気にしている存在です。自分にとってもこれからますます脅威になっていくんだろうなと警戒しています。

太田 ありがとうございます。(ラブレイセン選手を)倒せるよう頑張ります!

――ラブレイセン選手は国際大会で何年にもわたって優勝を重ねていますが、絶対王者としてプレッシャーはありますか。

HL オランダ人は自国の選手が様々なスポーツで勝つことが当たり前だと考えているので期待値も高いんです。日ごろからそういった環境にあるので、プレッシャーには慣れていると思いますね。

――太田選手のモチベーションは。

太田 海外のトップ選手がトレーニングしているSNSを見て常に奮い立たされています。まだトップではないからこそ、足りないことを埋めたいですし、その想いがモチベーションにつながってますね。せっかくの機会なので聞いてみたいのですが、オリンピックや世界選手権のような大会で必ず高いパフォーマンスを出すことができるのは、そこに向けて何を重要視して取り組んでいるからですか。

HL レースを、競技そのものを楽しむことですね。実は自分がレースをするだけではなく見るのも好きなんですよ。客観的な視点もモチベーションにつながるんです。長い間この競技を続けてきましたが、まだ進化できると思っていますし、だからこそ、些細なことでも追求してパフォーマンスを向上させていきたいと考えているんです。

太田 さらに進化させたいところとは?

HL トップスピードをもう少し上げたいですね。1kmタイムトライアルは世界記録(55秒433)を持っていないので、まずそこは求め続けていきたい部分です。加速力はもっと磨ける自信もあるので。

太田 今でも十分速いですよ。もう止まってほしいくらいです(笑)。

――競輪ワールドシリーズでの抱負をお聞かせください。

HL コンタクトの多い展開には慣れていないので、できるだけ先行して一番前で走りたいと思います。先行を保てるだけのトップスピード、持久力をお見せします。

太田 日本の競輪独特のラインが機能するような走りができれば、ラブレイセン選手をはじめ、海外の選手にトップスピードを出させないよう翻弄できると思っています。僕自身はまだ手にすることのできていないGIのタイトルを獲得するためにも、このワールドシリーズで国内外の強敵と戦いながら結果にこだわっていきたいと考えています。ここで勝ち癖をつけて、競輪はもちろんですが、国際的なケイリンのほうにも活かしていきたいです。

男女世界王者も参戦! 競輪ワールドシリーズ開催

1982年より「国際競輪」としてスタートし、2009年より「短期登録制度」として行なわれていた外国人選手招聘レースが2019年以来、7年の時を経て復活。

 

競輪とオートレースの売上の一部は、機械工業の振興や社会福祉等に役立てられています。

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