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誹謗中傷を見て「競技を続ける意味あるのかなぁ」32歳で引退、下門美春に聞いた“女子陸上選手の日常”「集団走で後輩のナプキンが落ちて…」
posted2023/05/04 17:01
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
体重デート
下門さんは、18歳の時、第一生命で実業団選手としての生活をスタートした。寮に入ったが、大学でありがちな厳しい上下関係はなかった。
「寮はひとり部屋ですし、先輩のお世話をするとかもなかったですね。門限は土曜日が夜9時半、日曜日が夜9時で、これは年齢関係なくありますし、外泊禁止だったのでそこは厳しかったんですが、それ以外は干渉もなかったです。合宿で熊本によく行ったんですけど、寮から羽田空港までは各自で行くんです。何か食べたいという人は早めに出たり、最終的に熊本の空港で集合みたいな感じだったので気が楽でした」
だが、2カ月近い合宿に入ると監督やコーチの管理下に置かれる。
ベストの体重に調整できていないと目をつけられた選手は、集合時間よりも1時間早くコーチの部屋に行き、体重を量る“体重デート”があった。監視の目も厳しい。食事の際、下門さんは味が付いていないものが苦手だったので、サラダにドレッシング、そしてオムレツにケチャップをかけていた。それを見ていたコーチに呼び出されて、「そういうのをかけるから喉が渇いて水を飲む。だから体重が増えるんだ」と注意された。
「もうめちゃチェックしているんですよ。ケチャップかけてもそんなに変わらないのに」
恋愛事情は…?
男子の合宿は、中日のオフに外食したり、最終日は打ち上げで飲んだりすることが許されているチームも多いが、女子の場合は、そもそも打ち上げがないという。
「ランチは各自の時もありましたが、合宿のオフに外食に行くとかはあまりなかったです。合宿最終日も夕食の中で、軽く一杯いただきますっていう程度で、夜の外食の時は絶対にスタッフが一緒にいましたね」
テレビドラマなどでは、そんな厳しくも愛のある指導をしてくれる監督やコーチに憧れて、恋愛感情に……という描かれ方もするが、実業団の場合は、どうなのだろうか。