――それは家族や近しい人たちへの……。

「その通りだ。何かいいことをすれば人から愛される。だが、突然、その愛は醒める。それが愛なのか？　違うだろう。僕は愛されたいとは思わない。

　繰り返すが僕が何かいいことをしたときに、正しく認識して評価して欲しいだけだ。でもそれは、よりグローバルなことがらに属するだろう。僕がここにいるのは、『なんて素晴らしい人なんだ！』と言われるために慈善活動に参加している人たちのように、愛を求めてのことではない。そんなのは見せかけだ。僕が何かをするのは自分がそれを望むからだ。誰も知らなくとも、心が欲するから僕はそれをする。だがある人々は、頭で考えてそうする。彼らの慈善活動は、こう言われたいがためだ。『ああ、なんていい人なんだ。こんなに病院に寄贈したぞ。コロナ禍のためにこれだけ金を使ったぞ』と。僕もするけど決してそんなことは言わない。大した違いだろう」

何物にも操作されない本物の人生

――だとしたらそれは、今日のサッカーにおいて最悪のことではないですか？

「でもそれが今の世界の現実でもある。人々は完璧でありたがる。彼らが作りたがっているのは他人が感嘆するイメージだ。だが最後には、現実に取り込まれてしまう。タイガー・ウッズを見ればわかる（史上最高のゴルファーのひとりだが、不倫スキャンダルが発覚して一時ツアーから離脱した）。地球上で最も完璧な人間と見なされていたのに……。

　自分自身であり続けるのは、それを演じることではないし、本来の自分ではない何ものかになることでもない。そんなことをしたら、最後にツケを支払わねばならなくなる。もちろん望めばそうすることはできる。ただ、人からそれがいいと言われたから、それが自分の役に立つから、完璧になれると言われたからって、そうしても意味がない。それは単に操作されているにすぎない。僕はそんな風に操作されたくない。僕のソーシャルアカウントを見ればわかるが、そこにあるのはひとりの人間の本物の人生だ。二重性は何もない」

――偽装はなしですか？

「ノンフィルターだ」

＜#3に続く＞

#3に続く

「だから表舞台から黙って消えて…」人生言いたい放題のイブラヒモビッチが明かした“引退＝小さな死”への本音