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サッカー界の英雄が麻薬絡みで破産!?
殺人件数2位メキシコ、その闇の深さ。

posted2017/09/04 08:00

 
サッカー界の英雄が麻薬絡みで破産!?殺人件数2位メキシコ、その闇の深さ。<Number Web> photograph by Patrick Boutroux/L'Equipe

世界で2番目に殺人事件の多い国のサッカー場。リーガメックスのクラブには、スタジアム内だけでなく、その外の世界でも警察が目を光らせている。

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トマス・グバン

トマス・グバンThomas Goubin

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Patrick Boutroux/L'Equipe

 8月22日に発売された『フランス・フットボール』誌では、メキシコにおけるサッカーと犯罪――とりわけ麻薬カルテルとの関わりをトマス・グバン記者がレポートしている。この8月9日、関わりが明らかになったラファエル・マルケスが選手生命を絶たれたように、両者の間には根深い関係がある。

 太陽とテキーラの国メキシコ。溢れんばかりの陽光の下で、輝きを放っているメキシコサッカー――リーガメックスは、いったいどんな闇を抱えているのか。本田圭佑が選んだ国のサッカー界の現実をグバン記者が浮き彫りにする。

監修:田村修一

バルサでCL優勝まで経験しているスーパースターが……。

 メキシコの国民的英雄であるサッカー選手ラファエル・マルケスが、麻薬取引がらみのマネーロンダリングに関わったと糾弾されている。サッカー界のシンボルである彼も、世界最強の麻薬カルテルの魔の手からは逃れられなかったのだった。

 その経歴は、まさに輝くばかりである。

 メキシコ人選手として初めて、FCバルセロナでUEFAチャンピオンズリーグに出場して優勝。ワールドカップにキャプテンとして4度出場したのも、メキシコでは彼が最初である。今年のコンフェデレーションズカップでも活躍し、来年開催される本大会に5度目の出場を目指す38歳のラファエル・マルケスは、しかしながら不名誉なブラックリストに掲載されてしまったのだった。

 この8月9日、アメリカ財務省の所属機関である「OFAC(外国資産管理室)」が、麻薬密売組織の総元締めのラウル・フローレス・エルナンデス、通称“エル・ティオ”(おじさんの意味)のマネーロンダリングシステムに関する調査報告を公にした。

 そこにはこの60年間にわたりロンダリングに関わってきた43の組織名が記載されており、そのうちの9つの会社がラファエル・マルケスに関連するものだった。

 その中には彼が主宰するサッカースクールや貧困者救済組織、スポーツ医学研究所も含まれていたのである。

【次ページ】 ほぼ破産宣告とも言える厳しい処分となった元英雄。

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