セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
イブラヒモビッチが指名した「クソみたいなクラブ」ミランが再起 11季ぶりのスクデット獲得も夢じゃない
posted2021/12/11 17:03
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
夢の舞台は、苦い結末に終わった。
今季、UEFAチャンピオンズリーグへ8年ぶりに出場したミランは、いきなり開幕3連敗と躓いたもののそこから盛り返し、グループリーグ突破へ一縷の望みをかけてリバプールとの最終節に臨んだ。
だが、3季前の欧州王者との差は如何ともしがたく、1-2の逆転負けで、夢はあえなく潰えた。
試合後、指揮官のステーファノ・ピオリは正直に言葉を紡いだ。
「決勝トーナメントに進出するのが目標だった。落胆は大きい。だが、このレベルの相手とぶつかった経験は、必ずや成長への糧になる」
03-04シーズン以来のハイペースで勝点を積み上げる
いつまでも下を向いていられない。
“冬のセリエA王者”を左右する大一番が近いのだ。
今季のミランは、本気でスクデットを獲りに来ている。
12月最初の週末、セリエA第16節でミランはサレルニターナを2-0で下して2連勝。一方、首位ナポリが4位アタランタとの激闘に2-3で競り負けたため、ミランがポイントリーダーの座を奪った。同節終了時点でミランが積み上げた勝点38は、MFカカら豪華メンバーで優勝した03-04シーズン以来のハイペースだ。
今季開幕からセリエAで無敗を続けてきたミランは、先月下旬にまさかの連敗を喫した。得点ランク1位タイのFWブラホビッチ擁するフィオレンティーナと、やはり強力な破壊力を誇るサッスオーロ相手に計7失点を食らった。
2つの黒星は、A・マドリーとのCL第5節アウェーゲームを挟んでのものだった。ミッドウィークに行われる欧州カップ戦の消耗がいかに大きいかあらためて思い知ったピオリと選手たちは、本格的な冬の到来を前に後退しつつあった。
思い出すのは、昨季の苦い経験だ。
ミランは20-21シーズンのカンピオナート前半戦で首位を走り“冬の王者”となったが、今年2月にスペツィアとインテルから喫した2連敗で首位から陥落。その後、2度と首位に返り咲くことはなかった。
だが、今季のミランは連敗の後、アンドリー・シェフチェンコ新監督率いるジェノア相手に3-0で快勝し連敗を脱出。見事に立て直してきた。
「今季は大事なシーズンだ。ミランは目先の小さな勝ちに満足するようなチームではない。強い敵ばかりだが、我々はきっと大きな戦果を手にできる」(ピオリ監督)