フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「インスタの写真に悩む道化ではない」「では訊くが、愛とは何だ?」キャリア終盤のイブラヒモビッチがこだわる等身大の人生とは
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/12/11 17:01
PSG時代のイブラヒモビッチ。ビッグマウスに暴言など「悪童」にふさわしい言動は多いが、ファンには熱烈に愛された
――ハルクやスーパーマンの役割を演じているということですか?
「僕はどんなときも何の役割も演じてはいない。僕は僕自身でそれ以外では……(少し考える)。言いたいのは僕はそんな風に育ったということだ。自分の人生を築き経験を積んだ。そして成長した。今、僕には家族がいる。ふたりの子供がいて、彼らは僕の人生の一部だ。
人は人生のページをめくる。僕にもいいときも悪いときもあった。もちろんノーマルなときもだ。そうして時は過ぎていき、今の自分ができあがった。ここにいる僕こそが今日の僕だ。半年後や1年後にはもしかしたら変わっているかも知れない。それはどんな道を辿るかによる。今の僕は35歳のころとも30歳や25歳のころとも違う。考え方はそのころと同じではない。でも僕は僕のままで、それこそが最も大事なことだ。
僕は成熟した。ピッチの上でもピッチ外でも、それまでとは違うやりかたで状況に対処している。これからもトップレベルのサッカーで、できるだけ長く自分のプレーを生かしたいし、経験をチームメイトと分かち合いたい」
チームのためにできること
――もうすぐ40歳ですがずっとタフガイでいられますか。それとももう難しいのでしょうか?
「あなたは僕を本物の悪党と思っているのか(笑)。それが僕のイメージなのか……。でも悪役じゃないよ。僕にほぼ2mの身長があって今も屈強であり続けるのは努力と練習の成果だ。ベニスビーチ(註:ロサンゼルス近郊のビーチ。かつてはドアーズのコンサートなどで有名だったが現在はボディビルダーの聖地、いわゆるマッスルビーチとしても知られている)で日がな一日筋トレをしているからじゃない。僕はそう生まれついた。両親も大きかった。僕は自分のスケールと年齢に合ったプレーをしようと心がけている。25歳や30歳のころのスピードはもうないが、チームのためにできる最善を尽くしている。それに決して傲慢不遜ではない」
――では思いやりがありますか?
「ああ、あるね。僕をよく知れば、僕がどれだけ大きな心を持っているかわかるだろう。でも僕を知らないと毛嫌いする」
――誰からも愛されたいのでしょうか?
「そうじゃない。僕が何かよいことをしたときに、それをちゃんとわかって欲しいだけだ。好かれようが嫌われようが……。
では訊くが、愛とは何だ? 教えてくれ。あなたの周囲の人々は、あなたへの愛があるからそこにいるのではないか。サポーターだってそうだ。インテルのサポーターを見ればわかる。僕がチームにいたとき(2006~09年)は熱烈な愛情を僕に示したが、チームを離れてからは何もなくなった。ならばいったい何が愛だというのか?」