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「バロンドールになぜメッシ?」日本で唯一の投票委員が違和感を抱いた賞の価値《選考基準はどこに?》

posted2021/12/04 17:01

 
「バロンドールになぜメッシ?」日本で唯一の投票委員が違和感を抱いた賞の価値《選考基準はどこに?》<Number Web> photograph by Getty Images

7度目の授賞式のスピーチで、メッシは2位となったレバンドフスキを気遣うコメントを発した

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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 リオネル・メッシ(PSG)が7度目となるバロンドールを受賞した。史上最多受賞の更新で単独1位。最大のライバルであるクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)がすでに36歳であることを考えれば、今後この記録を破るものは永久に現れないのではとさえ思われる。

 一昨年(2位のビルヒル・ファンダイクとはわずか7ポイント差)ほどではないにせよ、今年もまた僅差の勝利だった。メッシは613ポイントで、2位のロベルト・レバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)との差は33ポイントである。これはどういうことか。コロナの影響で創設以来はじめて中止となった表彰が去年も行われていたら大差でレバンドフスキが獲得し、今年はメッシとこれほどまでの僅差の戦いにはならなかったように思う。

 バロンドールの選考基準は暦の1年単位である。今年でいえば、2021年1月1日から投票の瞬間までのパフォーマンスが評価の対象となる。だが、今年に限っては、レバンドフスキの過去2年間のパフォーマンスを考慮して票を入れた者が多かったのではないかと思う。かくいう筆者もそのひとりで、選考基準は重々承知しながらレバンドフスキに1位の票を投じた。ちなみにかつてのバロンドールに相当する位置づけのUEFA欧州最優秀選手賞は、昨年はレバンドフスキが大差で圧勝したが、今年はジョルジーニョ(チェルシー)が僅差でケビン・デブライネ(マンチェスター・シティ)を破り受賞した。レバンドフスキはトップ3にも入ってはいない。

ライバルたちの1年は?

 大本命が不在の選考となったのは、EURO2020とチャンピオンズリーグで圧倒的な大活躍をした選手がいないことが大きかった。レバンドフスキのポーランドはEUROでグループリーグを突破できず、またバイエルン・ミュンヘンもCL準々決勝でパリ・サンジェルマンに敗れた。エンゴロ・カンテ(チェルシー)はCLには勝ったが、EUROのフランスはラウンド16でPK戦のすえにスイスに敗れた。ケビン・デブライネもCL決勝を負傷退場してタイトルを獲れず、ベルギー代表として出場したEUROではポルトガル戦で負傷し、準々決勝のイタリア戦は十分な活躍ができなかった。CLとEUROの両方を獲得したのがイタリア代表のジョルジーニョだったが、過去にボランチの選手が受賞したのはローター・マテウスただひとりである。地味なポジションと知名度の低さからくる不利は否めなかった。

【次ページ】 バロンドールの価値

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