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「監督より僕の方がタイム速いですよ」箱根駅伝ランナーに起きている“1万mのインフレ問題”《希少だった「28分台」も今や…》
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byJIJI PRESS/Nanae Suzuki/Asami Enomoto
posted2021/11/23 11:04
歴代の箱根駅伝トップランナーたちは「1万m」の記録でその走力を計られてきた
1位(28分18秒31)の田村和希(青学大3)は出雲2区と全日本2区で区間賞。10000m記録挑戦競技会でもトップを飾ったが、箱根駅伝(17年)は7区で区間11位と苦戦した。それでも青学大は3区秋山雄飛(現・中国電力)でトップに立つと、その後は首位を譲ることなく、3連覇&3冠のゴールに突き進んだ。リストには入っていないが、青学大のエース・一色恭志(4年/現・GMOインターネット)は28分23秒40が当時の自己ベストだった。
(1)28.18.31 田村和希(青学大3)
(2)28.22.97 櫻岡駿(東洋大4)
(3)28.25.09 工藤有生(駒大3)
(4)28.25.85 永山博基(早大2)
(5)28.26.70 佐藤孝哉(山梨学大4)
(6)28.29.43 山藤篤司(神奈川大2)
(7)28.30.16 鈴木健吾(神奈川大3)
(8)28.31.66 鈴木塁人(青学大1)
(9)28.32.03 丸山竜也(専大4)
(10)28.34.54 堀尾謙介(中大2)
※日本ランキング100位は28分50秒60
2位(28分22秒97)の櫻岡駿(東洋大4/現・NTN)は箱根4区で区間4位、同3位(28分25秒09)の工藤有生(駒大3)は箱根2区で区間6位だった。箱根駅伝で大活躍を見せたのはリスト7位(28分30秒16)の鈴木健吾(神奈川大3/現・富士通)だ。花の2区を1時間7分17秒で走破して、区間賞を獲得。チームを12年ぶりのシード権獲得に導いた。
現在(2021年11月)の学生トップ10は?
2021年シーズンはまだ終わっていないため、2020年度で比較すると、2016年度よりも日本ランキング100位のタイムは28秒81も急上昇。これは“シューズの影響”と考えていいだろう。
世界中のレースを席巻しているナイキ厚底シューズが一般発売されたのは2017年夏になる。トラックでも厚底シューズを履く選手が出てきたが、昨年から世界陸連の規則が変更。800m以上のトラック種目は靴底が「25㎜以下」に改定され、同年12月1日から適用された。すると、今度はナイキの“高速スパイク”が火を吹いた。