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「監督より僕の方がタイム速いですよ」箱根駅伝ランナーに起きている“1万mのインフレ問題”《希少だった「28分台」も今や…》 

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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photograph byJIJI PRESS/Nanae Suzuki/Asami Enomoto

posted2021/11/23 11:04

「監督より僕の方がタイム速いですよ」箱根駅伝ランナーに起きている“1万mのインフレ問題”《希少だった「28分台」も今や…》<Number Web> photograph by JIJI PRESS/Nanae Suzuki/Asami Enomoto

歴代の箱根駅伝トップランナーたちは「1万m」の記録でその走力を計られてきた

 1位(28分25秒59)の徳本一善(法大4/現・駿河台大駅伝監督)と同2位(28分26秒18)の岩水嘉孝(順大4/現・資生堂監督)は日本インカレの5000mと10000mでも激闘を演じている。しかし、最後の箱根駅伝(02年)は2区を予定していた岩水が欠場。徳本も2区で途中棄権に終わった。なお10位までのうち岩水と藤原正和(中大3/現・中大駅伝監督)以外の8人は12月1日の日体大長距離競技会でマークした記録だった。この年の箱根駅伝(02年)は駒大が2年ぶり2回目の優勝。4年ほど続いた順大との“紫紺対決”を制すと、このまま4連覇の金字塔を打ち立てることになる。

◆2001年度の学生ランナー10000mトップ10

(1)28.25.59 徳本一善(法大4)
(2)28.26.18 岩水嘉孝(順大4)
(3)28.27.33 尾田賢典(関東学大3)
(4)28.30.71 吉村尚悟(神奈川大2)
(5)28.32.25 堀口貴史(国士大4)
(6)28.32.75 藤原正和(中大3)
(7)28.36.35 松下龍治(駒大3)
(8)28.37.88 黒田将由(法大2)
(9)28.39.88 藤井周一(日大2)
(10)28.46.91 神屋伸行(駒大4)
※日本ランキング100位は28分56秒94

15年前(2006年)の学生トップ10は?

 2006年度は5年前と比べて、日本ランキング100位のタイムが2秒70上昇しただけだったが、箱根ランナーのレベルはかなり高かった。リスト1位(28分07秒02)の佐藤悠基(東海大2/現・SGホールディングス)は同年の日本ランキングでもトップ。箱根駅伝では1区で1時間1分06秒の区間記録を樹立して、後続を4分01秒も引き離す伝説の走りを見せた。この記録は現在も破られておらず、箱根駅伝で最古の区間記録になっている。

 2位(28分16秒57)の木原真佐人(中央学大2)は2区で区間7位。花の2区を制したのがリスト4位(28分19秒22)の竹澤健介(早大2/現・大阪経済大ヘッドコーチ)で区間記録は1時間7分46秒だった。竹澤と佐藤は夏の欧州遠征に参加して、竹澤が5000mで13分22秒36、佐藤が同13分23秒57をマーク。この記録は2006年度の日本ランキングでワン・ツーだった。竹澤は3年時に10000mで27分45秒59の日本人学生最高記録を樹立。4年時には北京五輪(08年)の5000m・10000mに出場した。

◆2006年度の学生ランナー10000mトップ10

(1)28.07.02 佐藤悠基(東海大2)
(2)28.16.57 木原真佐人(中央学大2)
(3)28.18.40 北村聡(日体大3)
(4)28.19.22 竹澤健介(早大2)
(5)28.21.32 伊達秀晃(東海大3)
(6)28.28.20 保科光作(日体大4)
(7)28.47.82 池田宗司(駒大2)
(8)28.48.30 宇賀地強(駒大1)
(9)28.48.89 三島慎吾(國學院大4)
(10)28.49.10 小野裕幸(順大2)
※日本ランキング100位は28分54秒24

 この年の箱根駅伝(07年)は順大が6年ぶりの総合優勝。「山の神」と呼ばれた今井正人(現・トヨタ自動車九州)が前年から最長区間となった5区で首位を奪うと、9区では長門俊介(現・順大駅伝監督)が区間賞(1時間10分06秒)を獲得している。なお当時の10000mベストは今井が28分57秒93、長門が29分03秒78だった。

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