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「監督より僕の方がタイム速いですよ」箱根駅伝ランナーに起きている“1万mのインフレ問題”《希少だった「28分台」も今や…》
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byJIJI PRESS/Nanae Suzuki/Asami Enomoto
posted2021/11/23 11:04
歴代の箱根駅伝トップランナーたちは「1万m」の記録でその走力を計られてきた
10年前(2011年)の学生トップ10は?
2011年度は5年前と比べて、日本ランキング100位のタイムは1秒66ダウンしたが、箱根ランナーのレベルは上昇した。
1位は27分44秒30の日本人学生最高記録を樹立した鎧坂哲哉(明大4/現・旭化成)。前年度は箱根2区で区間3位と好走したが、最後の箱根は故障の影響で10区(区間4位)にまわり、総合3位のゴールに飛び込んでいる。2位(28分00秒78)の村澤明伸(東海大3/現・SGホールディングス)は前年度の箱根2区で1時間6分52秒をマーク。この年は2区で区間3位(1時間8分14秒)に終わった。なお2区の区間賞は1時間7分26秒で、10000mベストが29分02秒10の出岐雄大(青学大3)が獲得した。
(1)27.44.30 鎧坂哲哉(明大4)
(2)28.00.78 村澤明伸(東海大3)
(3)28.02.46 油布郁人(駒大2)
(4)28.03.27 撹上宏光(駒大3)
(5)28.17.57 村山謙太(駒大1)
(6)28.23.61 窪田忍(駒大2)
(7)28.25.17 柏原竜二(東洋大4)
(8)28.28.64 伊藤正樹(国士大4)
(9)28.32.32 久我和弥(駒大3)
(10)28.41.25 早川翼(東海大3)
※日本ランキング100位は28分55秒90
7位(28分25秒17/当時の自己ベストは28分20秒99)の柏原竜二(東洋大4)は「山の神」と呼ばれるほどの大活躍を見せた。箱根駅伝は最長だった5区で4年連続の区間賞。一度も総合優勝のなかった東洋大に3度の栄光をもたらした。山のイメージが強い柏原だが、関東インカレの1部10000mでも“4年連続表彰台”という快挙を成し遂げている。当時、大学2年生だった大迫傑(早大)は10000m28分42秒83、5000m13分31秒27という記録を残しており、箱根は1区で2年連続の区間賞。4年時には鎧坂の記録を上回る27分44秒30の日本人学生最高記録を打ち立てることになる。
5年前(2016年)の学生トップ10は?
2016年度は5年前と比べて、日本ランキング100位のタイムは5秒30上昇したが、箱根ランナーのレベルはややダウンした。