大切なのはボールに触る「頻度」ではなく、どこで触るのかという「場所」です。自分がどこに立ったらスペインの守備陣はイヤがるのかを、彼はしっかりと理解している。数少ないチャンスをモノにするために、ピッチ上の久保は集中力を研ぎ澄ますでしょう。

優勝候補でも「気おくれをすることはない」

　ニュージーランド戦とは立場が逆となり、スペイン戦では日本が挑戦者として臨みます。だからといって、過度なリスペクトをすることはないと考えます。

　このチームはブラジルやアルゼンチンに勝ったことがある。スペインとは7月のテストマッチで引分けた。スペイン戦については互いに多くの選手を交代させ、ベストメンバーで戦い抜いた末のドローではなかったですが、気おくれをすることはないでしょう。

　U-24世代が培ってきた成功体験に加えて、オーバーエイジの3人がもたらす経験もある。スペイン戦では酒井宏樹が出場停止から復帰します。準々決勝までの警告が清算されたので、チーム全体が思い切ってプレーできると思います。

　酒井が戻ってくる一方で、冨安健洋が累積警告で出場できません。これまでの選手起用に当てはめると、板倉滉が吉田麻也とコンビを組むはずです。板倉はスペインとのテストマッチに、フル出場しています。未知の相手ではないことはポジティブな要素で、「冨安が出ていないから……」とは言わせたくない。「やってやる」という気持ちに満ちているに違いない。

スペイン戦には冨安が累積警告で出場できない。板倉滉が吉田麻也とコンビを組むことになりそうだ　©JMPA

五輪の結果は「来年のカタールW杯に直結します」

　準決勝に勝ち進んだことで、あと2試合戦うことができます。

　連勝で金メダルを獲得するのか。1勝1敗で銀または銅メダルをつかむのか。それとも、2連敗で4位に終わってしまうのか──。

　ここからどんな結果を導き出すのかは、来年のカタールW杯に直結します。スペインを撃破して決勝へ勝ち上がることができれば、その成功体験はフル代表での活動にも生きてくる。日本サッカー全体がさらに前進していくためにも、スペイン戦は大きな意味を持つ一戦となります。

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