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「戦術的にも磨かれていた」中西哲生が感じた“NZの緻密さ”…日本は優勝候補スペインをどう崩すか?
posted2021/08/02 17:04
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
JMPA
薄氷を踏む思いで、2大会ぶりのベスト4入りを決めた。
7月31日に行なわれた日本対ニュージーランドの準々決勝は、両チームともにスコアレスのまま延長戦へもつれ込み、それでも決着がつかずにPK戦へ委ねられた。
ここで輝いたのが、日本のGK谷晃生だった。2人目のキックを止め、3人目のミスも誘発した。4人全員が決めた日本は、PK戦を制して準決勝に進出したのだった。
久保建英らのパーソナルコーチを務める中西哲生氏は、苦戦も予想していたという。そして、そこに日本サッカーの立場の変化を読み取る。ニュージーランド戦を振り返りつつ、スペインとの準決勝を展望してもらった。
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「日本サッカーがレベルアップしたからこそ」の難しさ
ニュージーランドとの準々決勝をまえに、私はシドニー五輪の準々決勝を思い起こしていました。ベスト8入りしていたのはブラジル、カメルーン、イタリア、スペイン、チリ、ナイジェリア、それに日本とアメリカで、アメリカとの対戦は好意的かつ楽観的に受けとめられたものです。ところが、PK戦で敗れてしまった。
東京五輪でベスト8に勝ち上がった国は、スペイン、コートジボワール、ブラジル、エジプト、韓国、メキシコ、日本、ニュージーランドです。ニュージーランドが格下とは言いません。実際に好チームでした。ただ、「客観的な実力の比較で、勝てる確率の高い相手」だったのは間違いありません。負けたら失望感が広がる意味では、「勝たなければいけない相手」と言うこともできました。
ワールドカップや五輪に出場することが当たり前となり、出場するだけでなく上位進出を現実的なターゲットとするからこそ、「勝たなければいけない相手」が出てくる。そう考えると、日本サッカーがレベルアップしたからこその難しさに縛られた一戦でした。
トーナメントでは「勝利そのもの」に価値がある
準々決勝のその他のカードでは、スペインが延長戦の末にコートジボワールを振り切り、ブラジルはエジプトを最少得点差で退けた。疲労が蓄積していくことを踏まえても、トーナメントでは「勝ちかた」ではなく「勝利そのもの」に価値がある。