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【非難の嵐でプレミア勢が即脱退】参加すれば260~390億円ボーナス 強欲な欧州スーパーリーグ構想は「フットボール界の内戦」
posted2021/04/21 11:04
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
「大衆が創り上げたものを、金持ちどもが奪っていった。フットボールよ、安らかに眠れ」
こうした横断幕がスタンドに掲げられるのは、今に始まったことではない。事実、すでに多くの欧州のトップクラブは、地元の人々との結びつきや歴史、慣習を知らない外国人オーナーたちの手に渡ってしまっている。しかし保有者たちの強欲が、ここまであからさまに示されたケースは、近代フットボール史上初めてのことではないか。それが前々から囁かれていたことだとしても。
創設メンバー15クラブは“降格なし”特権
4月18日(日曜日)の英国時間23時半ごろ、ヨーロピアン・スーパーリーグから声明が出された。
「ヨーロッパを代表する12クラブは本日、週半ばに行われる新たな大会、スーパーリーグの設立に合意したことを、共同で発表する。このリーグは、ACミラン、アーセナルFC、アトレティコ・デ・マドリー、チェルシーFC、FCバルセロナ、FCインテル・ミラノ、ユベントスFC、リバプールFC、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリーCF、トッテナム・ホットスパーの創設クラブによって統治される」
このリーグは早ければ、今年8月からの開催を目指しているという。草案によると、上記12クラブに加えて新たに3クラブが創設メンバーとなり、その15チームはどんなに成績が悪くても降格せず、スーパーリーグでプレーし続けるらしい。そこに5つの招待クラブを加え、各10チームずつのリーグ戦を行い、上位3チームずつが決勝トーナメントに進出し、それぞれの4位、5位チームが残る2つの8強の座を争うことになるそうだ。
レアル、ユーべ、マンU首脳が“首謀者”に
昇降格ナシ、プレーオフの充実、派手な対戦の連続──何よりも興行を主眼に置いたアメリカ的なフォーマットだ。それもそのはず、この案の首謀者は、マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長(ヨーロピアン・スーパーリーグの初代会長)、ユベントスのアンドレア・アニェッリ会長(同副会長)、そしてユナイテッドのアメリカ人オーナー、ジョエル・グレイザー(同副会長)なのだ。