酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
高卒ドラ1がオコエ、平沢ら、大卒は森下…97年世代の評価とは? イチローや松坂、ハンカチ世代など“当たり年”と比べると
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News/Hideki Sugiyama
posted2021/04/16 11:02
オコエ瑠偉らの1997年生まれの世代は2021年で24歳となる。まだまだここからの奮起に期待したい
プロ野球の各世代は、選手たちが23歳になるシーズンにその全容が見えてくる。まず18歳になる年齢でに高校からドラフトで指名された選手がプロ入りする。これが40%前後、そして4年後、22歳になる年に大学の選手がドラフト指名される。これも40%前後、残りの選手は高校から社会人・独立リーグか、大学から社会人・独立リーグを経て入団するが、全部で10~20%くらいだ。
世代全体での選手数は70人から90人程度。この構成はずっと昔から変わっていない。
長嶋&野村、江川&掛布、イチローも当たり年だった
球史に残る「当たり年」と、主な選手をいくつか挙げておこう。選手は入団前の最終学歴、経歴でまとめた。
〇1935年度生まれ
高校:野村克也(峰山)、皆川睦雄(米沢西)、小玉明利(神崎工)、毒島章一(桐生)、梶本隆夫(多治見工)、土橋正幸(日本橋)、仰木彬(東筑)、空谷泰(松山商)
大学:長嶋茂雄(立教大)、杉浦忠(立教大)、近藤和彦(明治大)、森徹(早稲田大)、岡嶋博治(立命館大)
野村、長嶋、皆川、梶本、杉浦の5選手が殿堂入り。仰木も監督として殿堂入り。戦後プロ野球の人気を盤石にした大選手が次々と登場した空前の当たり年だ。
〇1955年度生まれ
高校:掛布雅之(習志野)、河埜敬幸(八幡浜工)、藤田学(南宇和)
大学:平野謙(名古屋商科大)、古屋英夫(亜細亜大)、遠藤一彦(東海大)、江川卓(法政大)、山倉和博(早稲田大)
社会人:中尾孝義(プリンスホテル)、大野豊(出雲信用組合)
1973年のドラフトでは高卒で掛布、河埜、藤田らがプロ入りし、1977年ドラフトでは大卒で遠藤、平野、山倉らがプロ入り。「江川事件」で1年遅れて江川卓が入団。さらに社会人で中尾、大野が入団。この世代では大野豊が殿堂入りしている。
〇1973年度生まれ
高校:イチロー(愛工大名電)、石井一久(東京学館浦安)、三浦大輔(高田商)、中村紀洋(渋谷)
大学:清水隆行(東洋大)、門倉健(東北福祉大)
社会人:小笠原道大(NTT関東)、礒部公一(三菱重工広島)、小坂誠(JR東日本東北)、松中信彦(新日鐵君津)
甲子園に出場したものの無名の外野手だったイチローが1994年にブレーク。これを追いかけるように中村、小笠原、松中らがリーグ屈指の打者になった。石井一久、三浦大輔と指導者も出ている。この世代は社会人出身者が多く活躍しているのも特徴だ。