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高卒ドラ1がオコエ、平沢ら、大卒は森下…97年世代の評価とは? イチローや松坂、ハンカチ世代など“当たり年”と比べると
posted2021/04/16 11:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News/Hideki Sugiyama
そういえばオコエ瑠偉ってどうしているのだろう、とふと思った。彼は少し前まで楽天のリードオフマン候補だった。スケールの大きな選手になるのではないかと期待したものだ。
2015年8月末から9月上旬まで、関西で開かれた第27回WBSC U18ベースボールワールドカップでは、メディアは1年生で侍ジャパンのメンバーに選ばれた清宮幸太郎を追いかけまわしていたが、このチームの主力は1997年度生まれの高校3年生、1週間前に終わった夏の甲子園で活躍した選手たちだった。
この秋のドラフトでは、侍ジャパンのメンバーから小笠原慎之介(東海大相模→中日)、高橋純平(県岐阜商→ソフトバンク)、平沢大河(仙台育英→ロッテ)、そしてオコエ瑠偉(関東一→楽天)と4人の選手がドラフト1位で指名された。
筆者は毎日試合に通ったが、とりわけオコエは魅力的だった。外野でボールを追う、しなやかな走りと瞬発力はずば抜けていると思ったものだ。
さらにこの世代には、高橋樹也(花巻東→広島3位)、成田翔(秋田商→ロッテ3位)など甲子園を沸かせた選手もいた。日本はアメリカに負けて準優勝に終わったが、筆者は1997年度生まれの選手は「オコエ世代」と呼ばれるのだろうと思った。
2020年、規定投球回数に達したのは森下だけ
しかしそれから6年、今年24歳になる彼らを「世代」で呼ぶ声は聞こえてこない。
彼らの世代で規定打席に到達した選手はいまだいない。規定投球回数に達したのはU18大会には出ていたもののプロには行かず、明治大に進んで昨年ドラフト1位で広島に入った森下暢仁だけ。オコエ瑠偉は2019年9月26日の西武戦を最後に一軍出場なし。今年は春季キャンプにも参加せず、2月26日に左手関節の手術を受けた。
また仙台育英高時代は甲子園を沸かせ、このU18大会でベストナイン投手に選ばれた佐藤世那は、6位でオリックスに入ったが、わずか3年で戦力外になった。そこでふと疑問が浮かんだ。
果たして1997年世代は「はずれ」なのか?
そもそもプロ野球の「世代」とは何なのだろう?