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王者マンUの牙城が崩れた2010年代。
シティとリバプール台頭。今後は?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/05/26 18:00
2019-20シーズンのリバプールは中断前、圧倒的な強さを見せた。南野拓実も加わったチームは今後どのような道筋を歩むのか。
スポンサー収入水増し問題の影。
計算違いはいつから始まっていたのだろうか。昨夏、グアルディオラはこう言った。
「経済的な理由で補強を見送るが、2020年の1月には大胆に動くよ」
入場料収益は好調。チャンピオンズリーグとプレミアリーグのテレビ放映権料も莫大。経済的な理由の意味が分からず、2020年1月に大胆に動くとグアルディオラが言っているのだから、取るに取らない問題だと考えていた。
ところがシティは、2014年に続いて「ファイナンシャル・フェアプレーに抵触した」と指摘されている。UEFAが明らかにした。
「スポンサー収入を水増しした疑いが濃厚である」
シティは潔白を主張する。
「我々が無罪であることを示す証拠をすべて取りそろえてある」
この一件は今年の6月8~10日にCAS(スポーツ仲裁裁判所)で審理される予定だが、現時点でシティは不利と見られており、UEFAが主催する大会から少なくとも2年間は出場停止を言い渡される公算が大きい。
デブライネ、アグエロも……。
「1年なら我慢するけれど、2年は長い」(ケビン・デブライネ)
「俺は32歳(来季)。キャリアの終え方を考える年齢になった」(セルヒオ・アグエロ)
CLに出場できないのなら退団も辞さない、といったニュアンスだ。
ダビド・シルバとの契約は今シーズン限りで、ウォーカーも2年後には32歳だ。FFPとともに主力の加齢も問題となる。
しかも若手の成長が遅れ、なおかつUEFAは補強禁止までペナルティに加えようとしている。カネが使えず、マンパワーも足りないとなっては、さしものグアルディオラでも手の施しようがない。シティはテッペンから引きずり降ろされる。