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100キロ級で「柔道3冠」を目指す。
ウルフ・アロン、1年延期のメリット。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKYODO
posted2020/04/03 07:00
2017年の世界選手権に続き、昨年、平成最後の全日本選手権を制したウルフ・アロン。「柔道3冠」に向け、残すは五輪のみだ。
「顔は失敗作。でも柔道は失敗したくない」
選考の末、リオ五輪の男子100キロ級代表には'15年世界選手権金メダリストの羽賀龍之介が選ばれたが、若いウルフの台頭は日本全体に刺激を与えることにつながった。
井上監督が率いた男子は、リオ五輪で金メダル2つをはじめ、全7階級で表彰台を確保するという好成績に沸いた。
フランクな人柄。「イケメンではない。顔は失敗作。でも柔道は失敗したくない」と言ったり、「自分を動物にたとえると食べ過ぎているオオカミ」と言ったり、ユーモアがある。
ひとたび道着に袖を通すと、延長戦で無類の強さを発揮するスタミナ王として恐れられる。
「僕は東京生まれ、東京育ち。このタイミングで代表になれるのは運も持ってないとなれない。応援してくれる人たちのためにも、感謝をしながら負けない準備をしていきたい」
本番は1年3カ月後にやってくる。
新型コロナウィルス問題が不透明な中で長い準備期間をしっかりと生かすためには、メンタルのスタミナも大きな比重を占めることになるだろう。ウルフにはそれも備わっているように見える。