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格闘技PRESSBACK NUMBER
「俺を舐めてんの?」「何撮ってんだコラァ!」佐山聡の“地獄のシューティング合宿”に密着…当時の選手「あの合宿はヤバい」記者が見た“驚愕の実態”
posted2025/12/25 11:40
初代タイガーマスクの佐山聡。シューティング(現・修斗)の創始者として、総合格闘技の礎を築いた
text by

布施鋼治Koji Fuse
photograph by
BUNGEISHUNJU
「舐めてんの?」なぜ、いま佐山聡がバズっているのか
「俺を舐めてんの? 思い切り蹴れって言ったんだよ。これが思い切りか、お前の。舐めてんのか? 思いっ切りかそれで! やってみろオラァ! 殺すぞこの野郎!」
背筋が凍りつくような怒号とともに、容赦のない張り手が飛ぶ。手にした竹刀で頭部を叩く場面にも遭遇した。
ここはレッドゾーンを超えた教団の修行道場か。それとも、地獄の一丁目か。ひりついた空気が漂う中、異論を唱える者は皆無だった。仮に令和の世に同じことをやる現場があったら、指導者は何度訴えられるかわかったものではない。
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初代タイガーマスクこと佐山聡が創設したシューティング(現・修斗)が1991年9月に開催した合宿の映像がいま、注目を集めている。そのときテレビカメラが撮影していたドキュメンタリー映像のいわば“海賊版”が、YouTubeなどで出回っているためだ。
そのインパクトはお笑い芸人やYouTuberにも飛び火し、モノマネ動画が何本もアップされ、それぞれ結構な再生回数を稼いでいるようだ。どう見ても、コンプライアンスのボーダーをはるかに超えたシゴキにしか思えないのだから無理もない。
初代タイガーマスクのアクロバティックな動きは、いまもプロレスファンに新鮮な驚きをもたらしてくれる。そのキャラクターは清く、正しく、美しいスーパーヒーローそのものだ。対照的に、この合宿の映像はタイガーマスク時代とは正反対の衝撃を見る者に与えることだろう。
英雄か、悪魔か。どちらが佐山聡の正体なのか。
舞台は栃木県の足利工業大学(現・足利大学)付属高校レスリング部。そう、三沢光晴、川田利明といった人気レスラーを輩出したばかりでなく、三沢や川田が高校生として在籍してきた頃には谷津嘉章がコーチを務めていた名門だ。
この合宿は三沢の高校の同期で、修斗初代ウェルター級(現ライト級)チャンピオンとなる渡部優一(のちにプロレスラーのホッパーキングとして活躍)の計らいで実現したと記憶している。

