“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高3の時に「メッシの背番号は僕が」。
ハリルJの新星・中島翔哉の青き炎。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/03/27 07:00
6年前、東京Vユース時代の中島翔哉。当時も今も変わらないのは、その夢の大きさとひたむきな姿勢だ。
欧州のビッグクラブも中島に注目。
ポルトガルでは、すぐさま不動のレギュラーの座を獲得し、どんな局面でも「止められるものなら止めてみろ」と言わんばかりに迷うこと無く前へと仕掛けていくプレーを見せつけている。
オフ・ザ・ボールの動きでさえも常に前を意識しており、さらに、攻撃が単調にならないよう細かい変化を加えながら、チーム全体の流れを自分の形に持ち込む技術まで身につけ、ついにゴールまで量産し始めた。今季すでに9ゴールを挙げ、早くもエースの座を確実にする活躍を見せている。
瞬く間にヨーロッパのビッグクラブがポルトガルでプレーする若き日本人選手に注目し始めた。
そして、海外で活躍する23歳の日本人選手の存在は、必然的にハリルホジッチ監督の目に留まり、冒頭で書いた日本代表初招集、デビュー戦で代表初ゴールという鮮烈な瞬間を生み出すに至ったのだ。
「たったワンプレーでグッと近づく」
今の中島翔哉を見ていて、私の脳裏には、高校3年の春に語ってくれたある言葉が蘇っていた。
「今は僕の夢であり、目標であることは凄く遠い位置にありますが、何処かのタイミングで一気に近くなるものだと思っています。たったワンプレーでグッと近づくこともあると思うので、今はそのために毎日努力です。
成功している人は小さないろんなものを積み重ねてきているのだと思いますから……練習の時の何気ない1つのパスでも、高い意識を持っていかないといけない。この意識の基準は落としたくないですね」
6年の歳月を経て、彼にとってのその「何処かのタイミング」がついにやって来た。ロシアW杯出場も含め、間違いなく彼の「壮大な夢」までの距離は縮まっている。
そして、その「成長の加速力」をさらに速くするチャンスは、もう目の前にまで来ている。
だから……あとはそれを全力で楽しむのみだ。
その先にある壮大な夢にさらに近づくために。