サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
過去のブラジル戦と似た結果、内容。
それでも得られた日本の収穫とは?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2017/11/11 11:45
過去4試合連続で8得点……日本戦で得点を量産しているネイマール。
日本のチャンスから一転、鋭利なカウンターを浴びた。
そして36分だった。右サイドからカットインした久保裕也が、シュートかパスかの選択で揺れているうちにボールを刈り取られる。
黄色いユニフォームが、襲いかかってきた。鋭利なナイフのごときカウンターが瞬く間に発動される。
ゴール前に押し寄せてきた波は、吉田麻也がどうにか弾き返した。それでも、セカンドボールはブラジルに拾われてしまう。日本の左サイドへ展開されると、グラウンダーのクロスに誰も対応できない。ファーサイドで待ち構えるガブリエル・ジェズスに、いとも簡単に押し込まれてしまった。
実質的にこの時点で、勝敗は決していたと言える。
「本気のブラジル相手にもっとチャレンジしたかった」
0-3で迎えた後半は、意図的にボールを奪える場面も増えた。槙野智章が左CKからヘッドを叩き込み、終盤には浅野拓磨が決定機を迎えた。
後半はブラジルを押し込んだ、と見ていいのか。
否、そうではない。そもそもベストメンバーを組んでいないなかで、ブラジルは2点目を奪ってから少しずつ、3点目をあげてからはさらに、後半に入ってからは明らかに、ペースを落としていった。親善試合のモードにスイッチを切り替えていったのだ。
「後半は前からハメていい形も作れましたけど、本気のブラジルを相手にもっともっとチャレンジをしたかった」と長谷部誠が話すのも当然だっただろう。
先行されたあとは多少なりとも攻めることができたものの、ブラジルの熱量が下がったことは見逃せない──過去3度の対戦とほぼ同じようなシナリオで、今回のゲームも進行していったのだ。W杯で最多優勝を誇るサッカー王国との間には、ピッチに立つ選手が変わっても依然として大きな差が横たわっている。