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バロンドールとえこひいき。
~各人各様の投票内容を読む~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byFIFA via Getty Images

posted2012/01/14 08:01

バロンドールとえこひいき。~各人各様の投票内容を読む~<Number Web> photograph by FIFA via Getty Images

3年連続バロンドール獲得のメッシと澤のツーショット。日本協会はフェアプレー賞も獲得した

FIFAランク25位以下には「つむじ曲がり」の投票者が。

 ちなみに、FIFAランク25位あたりより下では、メッシを飛ばしている投票者がちらほらと眼につく。

 オーストラリアの主将ニールは、(1)ロナウド(2)イニエスタ(3)シュヴァインシュタイガーの順位だったし、中国の監督カマチョは(1)カシージャス(2)シャビ(3)イニエスタという並びだ。ま、カマチョの場合は熱狂的愛国者といわれているから、スペイン人選手で固めたかったのかもしれない。

 しかし、この程度では「つむじ曲がり」の称号を得ることはできない。

 英領ヴァージン諸島の主将はセスクを、ブルキナファソとガーナの主将はエトーを、ブルンジの監督とジブチのメディア代表はベンゼマを、それぞれ最優秀選手に推している。

 あ、書き忘れるところだった。日本の主将・長谷部誠は(1)メッシ(2)アウベス(3)シャビ、日本の監督ザッケローニは、(1)イニエスタ(2)ロナウド(3)メッシ、日本メディア代表の田村修一氏は、(1)メッシ(2)イニエスタ(3)ロナウドという順位だった。

嫌ペップを公言するイブラヒモビッチだが……。

 では最後に、男子の監督に眼を向けてみよう。

 実をいうと、この分野が面白い。だれに入れたか、ではなく、入れた理由や入れなかった理由がいろいろ考えられるからだ。

 たとえば、カメルーンの主将エトーは、ペップを無視した。(1)モウリーニョ(2)ファーガソン(3)タバレスというのが彼の順位だ。さすがは俺様センターフォワード、という感想が反射的に浮かぶが、恩師モウリーニョに対する思慕や敬愛の念も根強いのではないか。

 一方、「ペップをぶん殴ってやりたい」と公言して世間を騒がせたイブラヒモビッチ(スウェーデン主将)は、そのペップを1位に推している((2)モウリーニョ、(3)ビラスボアス)。こちらには、「短気だけれど意外にフェアな」彼の性格が出ているような気がする。

 そうそう、これもやはり書いておこう。長谷部の選んだ指導者ベスト3は、(1)ペップ(2)ビラスボアス(3)クロップ、ザックのベスト3は、(1)ペップ(2)タバレス(3)ビラスボアス、田村氏のベスト3は、(1)ペップ(2)ファーガソン(3)モウリーニョとなっている。

 とまあそんなわけで、今年もバロンドールの表彰はにぎやかに終わった。記名投票というこのシステムは、ぜひずっと続けてほしい。えこひいきや意地っぱりといった無意識の情動は、サッカーの世界とけっこう相性がよいように思う。

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