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バロンドールとえこひいき。
~各人各様の投票内容を読む~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byFIFA via Getty Images

posted2012/01/14 08:01

バロンドールとえこひいき。~各人各様の投票内容を読む~<Number Web> photograph by FIFA via Getty Images

3年連続バロンドール獲得のメッシと澤のツーショット。日本協会はフェアプレー賞も獲得した

 2011年度のバロンドールが決まった。男子がL・メッシで女子が澤穂希、男子の監督がペップ・グアルディオラで女子の監督が佐々木則夫。予想どおりの結果だったが、投票のくわしい内訳がFIFAのホームページに出ている。これがなかなか面白い。眺めていると、みるみる時間が流れてしまう。

 日本の新聞が報道しなかったことからいうと、4位に入った宮間あやの善戦が目立つ。獲得したポイントは全体の12.18%。澤が獲得した28.51%の半分以下だが、アジア諸国はもとより、アルゼンチン、ベラルーシ、ハンガリー、ナイジェリア、ポーランドといった国の主将が宮間を1位に推している。なるほど、あの足技は玄人受けするにちがいない。

 男子に眼を転じると、メッシの圧勝が凄まじい。

 47.88%という数字は、2位C・ロナウドの21.60%、3位シャビの9.23%に大きく水を開けている。そもそも、この3人で全体の8割近いポイントを占めているのが驚きだ。

男子受賞者のメッシ本人は誰に投票したのか?

 では、このトップ3に投票しなかった国の監督や主将はいたのだろうか。

 いた。ブルンジ、エストニア、マケドニア、ニュージーランド、パキスタンの主将が、トップ3にまったく投票していない。代わりに入っているのは、アビダル、ダビド・ビジャ、フォルランといった顔ぶれだ。ブルンジ、ブータン、パレスティナ、ソロモン諸島の監督もトップ3への投票を避けた。こちらには、エジル、スナイデル、スアレスの名前が見える。

 ただ、FIFAランキング上位25カ国に絞ると、さすがに判断は常識的になる。メッシとロナウドのトップ2に投票しなかった人物が2人しかいないのだ。

 ひとりは、アルゼンチンの主将メッシ当人である。

 内訳は、1位がシャビ、2位がイニエスタ、3位がアグエロ。スペイン系の選手で占められているのは、まあ当然の結果か。

 もうひとりは、アイルランド代表監督のトラパットーニである。1位がシャビ、2位がルーニー、3位がイニエスタ。理由は、トラップ本人に聞いてみるほかない。

【次ページ】 FIFAランク25位以下には「つむじ曲がり」の投票者が。

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