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実力派揃いの2012年入団組から、
球団事情を加味して新人王を大予想。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/01/12 10:30
ロッテのドラフト1位左腕・藤岡貴裕の東洋大での通算成績は、49試合登板で27勝9敗、防御率1.31。レベルの高い東都大学リーグでの抜群の実績を引っ提げ、プロ1年目から先発ローテーションの一角を狙う
セ・リーグの候補ナンバーワンは野村祐輔。
セ・リーグの新人王候補に推したのは次の4人。
<本命> 野村祐輔 (広島)
<対抗> 伊藤隼太 (阪神)
<伏兵> 武藤祐太 (中日)
<大穴> 小熊凌祐 (中日)
大学4年春までの野村はあまりいいとは思わなかった。学年が上がるごとに上背のなさ(177cm)を補おうとフォームが大きくなっていった。具体的に言うと、体を横に振って(肩を回して)投げようとするので左肩が早く開き、ストレートが抜け気味に高く浮くという姿を何回か見た。
◇防御率推移
1年春=1.80 秋=0.00
2年春=2.52 秋=1.85
3年春=2.14 秋=1.30
4年春=2.08 秋=2.91
徐々に防御率が悪くなっているのがわかる。先に挙げたフォームの弱点が打者に「攻略は難しくない」と思わせてしまったのである。とくに4年秋がよくない。それにもかかわらず新人王候補の本命に推したのは、その4年秋にフォームがよい方向に変わったのと、優勝したリーグ戦後に行われた秋の全国大会、明治神宮大会のピッチングが素晴らしかったからだ。
テークバックに向かうときの腕の振りが、それまでの外回りから、内回旋でヒジから上げる形に変わり、その結果、トップ時にヒジの位置が自然と高くなり、腕の振りがスムーズになった。フォーム改良の成果は、成績を見ればリーグ戦に間に合わなかったわけだが、明治神宮大会では高く浮くことがあったストレートがコンスタントに低めに集まり、スライダー、チェンジアップはそれまで以上に打者寄りで変化し、打者は面白いように翻弄された。
スライダー、チェンジアップ以外では、打者の目を高低に揺さぶるカーブ、右打者の内角攻めはカットボールと、状況に応じて緩急を使い分けることができ、先発陣にくらべれば安定したリリーフ陣、サファテ、今村猛、青木高広の存在も野村の新人王獲りをサポートすると思い、本命に推した。