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箱根駅伝“シン・山の神”青学大・黒田朝日を直撃…“衝撃の山上り”秘話「良くて3位くらいかと」「(5区は)12月中旬には決まっていた」「“シン”の字は…」
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酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2026/01/02 21:19
山上りの5区で区間記録を一気に2分近く更新する衝撃的な記録を打ち立てた青学大の黒田朝日(4年)。レース後に本人を直撃すると…?
それは上り坂で示した神業のような走りを見れば納得できる。そして、原は続ける。
「(青山学院大に)入ったときから5区候補。1年生のときも本当は使いたかった。1週間前に故障して補欠に回って使えなかった」
山のスペシャリストの若林がいたこともあり、過去2年は2区に回っていたが、最後の箱根路でスーパーランを披露した。秘策が的中し、原は胸をなでおろしていた。
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「(前との差は)3分半でギリギリ、ゴール付近で(抜ける)。2分以内で山決戦に挑みたかった。想定外のなかのギリギリで、早稲田に競り勝ちました」
大団円を迎え、黒田は意外な事実を打ち明ける。
「工藤くんの背中が見えた時点で、自分が何位かわからなかったんです。アレ抜けたら1位じゃない!? ってなって。ここまで来たら優勝するしかない。限界を超えました」
原の言葉を借りるまでもなく、大学4年間で一流ランナーに成長した。昨年は初マラソンとなる2月の大阪マラソンで日本学生最高記録となる2時間6分5秒をマーク。「スタミナはマラソンを走ったことで自信がつきました。最後までしっかり足が動きましたから」と話すなど、新たなチャレンジは、最後の箱根でも生きた。
本番前、主将として仲間にこう伝えた。
「箱根ほど楽しいレースはないから。全員で楽しんでいこう」
その言葉通り、誰よりも爽やかに箱根の山道を駆けた。歯を食いしばり、悲壮感すら表すことのあるクライマーの常識を打ち破った。
素朴な疑問…「シン・山の神」の「シン」の字は?
それにしても……。報道陣はひとつの疑問について話し合っていた。
「シン・山の神」の「シン」はどういう字なのだろう――。
黒田は笑いながら言った。
「『新』らしいもありますし、『真』のという意味もありますよね」
そして、周囲を驚かせた5区起用について真相を明かす。実は12月中旬までには伝えられていたと言い、いたずらっぽくつづける。
「1年生が山要員としてしっかり力があるっていうのは間違いない話で、その上で自分が走るっていうのが、ファンの人たちにとってもすごいサプライズかなとは思っていたので、うまいこと隠していこうっていう感じで思っていました」
黒田は2月1日、別府大分毎日マラソンに出場する予定で、箱根から世界へと飛び出していく。その前にまだ成し遂げるべきことがある。1月3日の復路で青山学院のランナーたちが快走すれば、青山学院大の3連覇&V9が成就する。
「今日で終わりじゃない。明日が残っています」
リーダーらしく早くも1月3日の復路で挑む総合優勝に意識が向いていた。

