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箱根駅伝“シン・山の神”青学大・黒田朝日を直撃…“衝撃の山上り”秘話「良くて3位くらいかと」「(5区は)12月中旬には決まっていた」「“シン”の字は…」
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酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2026/01/02 21:19
山上りの5区で区間記録を一気に2分近く更新する衝撃的な記録を打ち立てた青学大の黒田朝日(4年)。レース後に本人を直撃すると…?
9.8km地点で工藤が柴田をとらえ、早稲田大が首位に立っていた。黒田はめまぐるしく動く展開もレース中に把握していた。コースの複数地点に部員が立ち、タイム差を伝えてくれていたのだ。
「間違いなく詰まっているなっていうところはありました」
黒田は走りながら、そんなことを考えていた。9.7kmで國學院大の高石樹(1年、高知工)をかわしても、何事もなかったかのように歩を進める。その道中は冷静そのものだった。それは綿密なレースプランにも表れていた。黒田にとって、大きなポイントはふたつあった。
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「一般には(セオリーとしてペースアップは)宮ノ下以降っていうふうに言われるんですけど、正直、あそこはほんと勾配がキツすぎて。逆に頑張りすぎて、あそこで消耗しちゃうかなみたいなところがあったので、どちらかというと自分は12kmあたりの小涌園を過ぎてからが勝負かなと思っていて。そこの登りの部分と、あとは登り切ってからの下りですね、そこをどれだけ絞り出せるかっていう風に思っていました」
つづら折りのアスファルトを流れるように進んでいく。
11.9km。勝負のポイントに差し掛かった。
小涌園 1分2秒
早稲田の工藤が射程圏内に入ってきた。13.6㎞で2位の中大をとらえると、やがてちらほらとエンジのシャツが視界に映るようになった。日本テレビの中継で、若林の区間記録よりも速いと紹介されると、往路のゲスト解説を務める若林が「いや……スゴイのひと言です。自分より1分速いって、想像できないです」と絶句した。
区間記録保持者の先輩からは「アドバイスは何もない」
黒田は、若林が快走した過去2年の5区を映像でチェックし、自らの走りをイメージしていたという。そして、前日の1月1日には偉大な先輩に5区を走ることを報告。すると、こう返ってきた。
「もうアドバイスは何もない。自分の走りをしてくれ」
その言葉が黒田のすべてを表していた。
「黒田=2区」のイメージが強烈で、平地に強い先入観があるが、原によれば、黒田は入学直後から5区の適性を示していたという。
「まずは走りが自然と前傾しているんです。ハイブリッド走法というのかな。(追い込んで)無酸素系に陥っても、それを再生する生理的、身体的な能力が高い」

