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「年俸1000万円は安すぎる」Jリーグクラブの強化部長“給料低すぎ問題”…日本人代理人が疑問視する「ブンデス1部は1億7000万円~」「Jはスタッフの年収が低い」
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木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2025/10/25 11:29
バイエルンのマックス・エバールGM。約6億~6億8000万円の年俸をもらっているという。Jリーグの強化部長とはケタが違う
日本の強化部長の給与は、ドイツでいえば4部リーグのレベルに近いのだ。
「先日、ライプツィヒのシェーファーGMが、『この仕事を始めてから家族旅行をしたことがない』と言っていました。シェーファーは2018年にボルフスブルクでSDになって強化の世界に入ったので、約7年間ほぼ休んでいないということでしょう。ヨーロッパには夏にバカンスを取る文化があるのにすごいですよね。
ただ、日本の強化責任者も似たような働き方だと思うんです。同じように戦っているはずなのに、日本には評価するシステムがない。Jリーグ全体で見直す必要があるのではないでしょうか」
「ヨーロッパでは裏金が当たり前だった」
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日本でGMにいきなり数千万円規模の報酬を払うのは現実的ではないという意見もあるだろう。
だが、工夫すればきっと資金は生み出せる。
「欧州を経験し、日本に戻ってくる選手を中心に、選手の給与は高騰している。3億、4億円の年俸をもらう選手だって出ている。それならその選手たちと交渉し、予算を管理するGMや強化部長の給与体系自体を見直していってもいいんじゃないでしょうか」
強化責任者の働きを評価して正当な報酬を払わないと、不正が起きる可能性もある。
一昔前、ヨーロッパでは代理人から強化責任者へのキックバックが横行して問題視された。いわゆる裏金である。
「昔はヨーロッパで裏金が当たり前だったという話は聞いたことがあります。でも今はいろんな告発を経てほぼなくなったでしょう。東欧や一部の国ではまだ残っているかもしれませんが、ドイツは絶対にないと言える。GMやSDが自分の収入を危険にさらす意味がありません」
もしJクラブがGMに数千万円の年俸を払えれば、商社や外資系投資銀行で活躍しているような超エリート人材を集められるだろう。国外から特別な人材を集められる可能性もある。
9月、ノリッジをプレミアリーグへ導いた経験があるスチュアート・ウェバーがRB大宮の「ヘッドオブスポーツ」に就任した。年俸は「助っ人外国人」基準に違いない。この取り組みが成果を残せば、追随するクラブも増えるだろう。
「右へならえ」の日本の会社では、特定の人物だけ収入が高いと不公平感が生まれやすい、という難しさはある。
しかし、ピッチ内に目を向ければ、年俸480万円の新人もいれば、3億円の日本代表選手もいるのだ。能力と成果に応じて払う評価システムがあれば、スタッフ間に給与格差があっても問題になりづらいはずだ。
Jリーグのピッチ内では、年俸3億円を越える日本人選手が複数人いる時代に突入した。次は強化部門において、象徴となるような高額プレーヤーが現れることを期待したい。

