テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
テレビに映らないドジャース裏話「打率.056」でも大谷翔平が何より喜んだのは…「英語、分からないので」“大谷先輩譲り”な佐々木朗希の強心臓
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byHarry How/Getty Images
posted2025/10/19 11:02
フィリーズとの地区シリーズで苦しんだ大谷翔平だが、何より喜んだこととは
キャッチボールのためにグラウンドに出てくる際は捕手ロートベットとのすれ違いざまに両肩を上げて筋肉を盛り上げるような仕草を披露。筋骨隆々なロートベットの歩き方のモノマネに、普段はもの静かなロートベット本人も大笑いしていた。キャッチボール中には打撃練習の打球が大谷に当たらないようにカバーしていたウィル・アイアトン通訳が飛球を取り損なうと、「ブー!」とブーイングを浴びせ、スタンドのファンに向かって両手を上下させて煽る場面もあった。こんな大谷はなかなかお目にかかれない。このテンションの高さがパフォーマンスにどう影響していくのか、興味深い場面だった。
打率.056、本塁打ゼロでも嬉しそうだった
結局、この日も打てなかったが、存在感を発揮した。0−1の7回2死二、三塁。フィリーズはこの回から守護神ジョアン・デュランを投入したが、申告敬遠でベッツとの勝負を選択した。結果は同点の押し出し四球。先制された直後で、大きな1点になった。佐々木が同点の8回から登板し、3回無安打無失点の完全救援でサヨナラ勝利。2−1で下して3勝1敗とし、2年連続のリーグ優勝決定シリーズ進出を決めた。
地区優勝、ワイルドカードシリーズに続く今季3度目のシャンパンファイト。レインコートとサンダル姿に着替えた私は、前回同様“奇跡的”にファイト中に行われた大谷の囲み取材で最前列をゲットできた。大谷は延長11回2死満塁でパヘスが投前にゴロを転がし、敵失によるサヨナラ勝ちを生んだプレーを引き合いに出し「必ずしも奇麗に勝てる試合ばかりでない。今日みたいな勝ちが続けばその先が見えてくる」と笑みを浮かべた。さらに佐々木の3回完全投球について尋ねると、手放しで称えていた。
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「本当に素晴らしかった。見ていて頼もしい」
大谷はフィリーズの左腕に苦しめられ、この日もクリストファー・サンチェスらを打ち崩せず4打数無安打。地区シリーズ4試合で18打数1安打、打率.056、本塁打ゼロ。それでも、大谷らしく個人成績より、チームの勝利こそが何よりうれしい様子だった。
負ければ11日の第5戦に登板予定だった。この時点で次回登板はナ・リーグ優勝決定シリーズ初戦の可能性があり、指揮官は「これから話し合うが、おそらくそうなる」としながら「第2戦翌日は休み(移動日)なのでまだ確定ではない」と明言は避けた。
チームに勢いをつける初戦か、登板翌日の休養を優先して第2戦か、それとも――。二刀流として初めて臨むポストシーズンはまだまだ続く。〈つづく〉

