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LA紙「ヤマモトは圧倒的。傑出した才能」ドジャース伝説エース「達人だ」“完投絶滅”の常識を破った山本由伸…MVP快投は米国でどう報じられたか
posted2025/12/24 06:02
時代も野球も移り変わり、完投が重視されることが少なくなった時代に、山本由伸は大舞台で快挙を達成した
text by

ジャック・ハリスJack Harris
photograph by
ROBERT GAUTHIER/Los Angeles Times
書籍「DODGERS’ JOURNEY(ドジャース・ジャーニー) 大谷翔平・山本由伸 みんなでつかんだ世界一」(サンマーク出版)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
米大リーグ(MLB)2025年ワールドシリーズ第7戦。延長11回、ブルージェイズとの激闘を締めくくったのは山本由伸だった。「中0日登板」で胴上げ投手となった27歳の右腕は、シリーズMVPに輝いた。
ポストシーズンで2試合連続完投。ドジャースの投手がこの偉業を成し遂げたのは、伝説のエースとして知られる1988年のオーレル・ハーシュハイザー以来、実に37年ぶりだった。大谷翔平、佐々木朗希とともに21世紀初のワールドシリーズ連覇を成し遂げた日本人右腕の、現代野球の常識破りともいえる投球劇に地元紙Los Angeles Timesが密着。MVP右腕の働きはどのように報じられたのか――。
伝説のエース、ハーシュハイザーも感嘆
【山本由伸、完投・絶滅時代に圧巻の完投劇】
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トロント・ワールドシリーズ第2戦──オーレル・ハーシュハイザーは土曜日の夜、カリフォルニア州パサデナのレストランに腰を落ち着け、ワールドシリーズ第2戦が映し出されていたテレビのリモコンを手に取った。そして、自身が37年前に達成して以来、ドジャースの投手が誰一人として成し遂げていなかった偉業を、感嘆しながら見つめた。
1988年のポストシーズン、ハーシュハイザーは現代の野球ではまず再現不可能と思える圧巻の投球を続けていた。その年のワールドシリーズ優勝チームのエースとして、3試合連続完投を記録し、10月の伝説的な快進撃を支えていたのだ。1試合はナ・リーグ優勝決定シリーズ、残る2試合はワールドシリーズだった。
それから約40年間、ドジャースの投手でポストシーズンに連続完投を成し遂げた者は現れず、完投1試合に限っても2004年のホセ・リマただ1人だった。
