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「モリヤス監督、10点満点で8.0」日本代表ブラジル撃破に高採点ブラジル人記者が“あえて苦言”「パラグアイ戦は…」「まだ世界トップ級が不在」
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沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/10/17 06:02
後半の鮮やかな采配でブラジル撃破を導いた森保一監督。日本通ブラジル人記者も高く採点した
「前半のうちに2点を奪われる難しい展開となったが、ハーフタイムに戦術変更を指示して後半、見事にチームを立て直した。チームマネジメントのうまさも加味して、8.0点」
――監督は厳しい批判を受けたが、じっと耐えてこのような結果を出した。
「クラブ(サンフレッチェ広島)でJ1リーグ優勝3回という顕著な結果を残した後、日本代表でコーチを経て、2018年7月、監督となった。2022年W杯で修羅場を潜り抜け、指導者として大きく成長した。確固とした考えを持ちながら、異なる意見にも耳を傾ける柔軟さがあり、選手たちから深く信頼されている。近年の日本代表の成長は、彼と彼が選んだコーチングスタッフの手腕による部分が大きい」
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――近年、日本は監督と選手が常々、「W杯優勝」という壮大な目標を口にします。一見、不可能とも思える巨大な野心を持つことが、この試合のような驚くべき結果を叩き出す要因の一つだと思いますか?
「身の丈以上、と思われるかもしれない大きな目標を掲げ、そこから逆算して、地道な努力を積み重ねている。このことが、間違いなく近年の日本の着実な成長の一因となっていると思う」
ただパラグアイ戦…決して良い出来ではなかったよ
――話の順序が逆になりましたが、10日のパラグアイ戦はどう見ましたか?
「ブラジル戦の劇的な勝利で忘れがちだけど、ちゃんと振り返っておこう。パラグアイ戦の日本は、決して良い出来ではなかったからね。日本の守備陣がパラグアイのアタッカーに振り切られて失点。二度先行され、追いつくのに苦しんだ。前半21分の先制点は、ボバディージャに完全にフリーでパスを蹴らせてしまったし、瀬古歩夢も渡辺もアルミロンに簡単に振り切られたね。その5分後、日本が同点に追いついた小川のミドルシュートは強烈で、威力があった。ただしパラグアイのGKロベルト・フェルナンデスが絶対に止められないシュート、というわけではなかった」
――前半は1-1で折り返したのち、後半19分、パラグアイが右サイドからクロスを入れ、MFディアゴ・ゴメスが頭で決めた。
「この場面は、右から完全にフリーでクロスを入れさせてしまったし、瀬古と渡辺がゴメスをマークし切れなかった」
サノ、イトウ、ジュンノスケが評価を上げた3人だ
――以後はパラグアイが人数をかけて守り、日本は窮地に追い込まれた。しかし、アディショナルタイムに伊東のクロスをファーサイドで上田が頭で押し込み、何とか追いついた。

