- #1
- #2
ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「あれはルイス・エンリケの懲罰」「宝の持ち腐れだった才能が…」 元問題児FWを筆頭に“PSG無双”バロンドール選出誌編集長が明かす
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2025/10/05 17:00
PSGを欧州ナンバーワンに導いた名将ルイス・エンリケ
「誰もが語っているように超コレクティブなチームだが、それだけではない。最大の強さは監督のルイス・エンリケだ。彼が本物のチームを作り上げた。コレクティブで連帯感に溢れたチームで、選手は自分たちの役割を超えたプレーを実践する。
CL決勝(5月31日、PSG5-0インテル)がそうだったように、ハキミはセンターフォワードの位置にまで進出する。デンベレは積極的に守備に貢献し、休むことなくプレスをかけ続ける。ルイス・エンリケはすべての選手を、コレクティブなプロジェクトの中で見事に機能させ、コレクティブな力に昇華させた。
ただ、それは、シーズン当初からうまくいったわけではなかった。去年の11月までは、むしろ滞っていたとさえいえる。シーズンのスタートは決して思い描いていたものではなかった。風向きが変わったのは12月から1月にかけてで、CLリーグフェイズ第7節でマンチェスター・シティに逆転勝利(1月22日、4-2)を収め、そこがターニングポイントになった。年が明けてからは快進撃だ。攻守がかみ合い、リバプール(CLラウンド16、3月5日、11日、0-1、1-0、PK4-1)には競り勝ち、アーセナル(同準決勝、4月29日、5月7日、1-0、2-1)には2連勝。決勝もインテルに完勝で、そのすべてはルイス・エンリケの功績だ」
デンべレの覚醒も大きかった
ADVERTISEMENT
――たしかに彼が監督でなければ、成しえなかったことでした。
「同様にデンベレの覚醒も大きかった。デンベレがゴールを量産しだしたのと時を同じくして、チームの快進撃が始まった。彼は1月まで、CLで1ゴールもあげてはいない。シティ戦が、他の多くの選手と同様にデンベレにとっても分岐点になった。彼のあげたゴールがチームに勢いをもたらした。
PSGの強さは、コレクティブなチーム力だけでなく、個の強さでもある。デンベレはその象徴だ。彼のパフォーマンスの向上が、PSGというチームのパフォーマンスを劇的に変化させた。チームに与えたインパクトは大きい。
優れた監督とデンベレという存在に加え、GKも素晴らしかった。ドンナルンマのビッグセーブが、重要な試合でチームを勝利へと導いた。コレクティブな力と選手たちの個の強さの融合が、PSGの強さであるといえる。ドンナルンマ、ヴィティーニャ、ハキミ、デンベレ……。とりわけデンベレだ」
宝の持ち腐れだった才能を彼はついに開花させた
――デンベレがここまで変貌を遂げると想像できましたか?
「正直に言って、去年の12月までは考えられなかった。フランスでの彼の評価は微妙で、とりわけゴール前での決定力を欠くことで批判を受けていた。
