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「あれはルイス・エンリケの懲罰」「宝の持ち腐れだった才能が…」 元問題児FWを筆頭に“PSG無双”バロンドール選出誌編集長が明かす
posted2025/10/05 17:00
PSGを欧州ナンバーワンに導いた名将ルイス・エンリケ
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
第69回バロンドール授賞式が9月22日、恒例となったパリのシャトレ劇場でおこなわれた。ロドリ(マンチェスター・シティ)とヴィニシウス(レアル・マドリー)の一騎打ちとなった昨年とは異なり、男子に関してはかつて問題児とされたウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン。以下PSG)を筆頭に、ほぼすべての部門で、本命と見られた候補者が受賞した。
2024-25シーズンは、PSGが圧倒的な存在感を示し、ヨーロッパ初制覇を成し遂げたシーズンだった。その点では誰の異論もないだろう。結果としてPSGから、史上最多タイとなる9人が候補者リストにノミネートされた。
リスト発表後に、バロンドールを主催するフランス・フットボール誌(以下FF誌)のヴァンサン・ガルシア編集長に話を聞いた。
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世界で最も権威ある個人表彰の統括責任者であるガルシアは、昨季のPSGとバロンドールの大本命であるデンベレをどう見たのか。そのインタビューを2回に分けて掲載する。まずは前編から(全2回/第2回につづく)。
PSGから候補者9人…なぜ?
――FF誌8月号で、24-25年バロンドール各賞候補者リストが発表されました。男子についての印象はどうですか?
「PSGがとても素晴らしいシーズンを送ったことがリストに反映されている。候補者の9人がパリの選手で、ひとつのクラブからこれだけの選手が候補にあがるのは、30人のリストを作成するようになって初の出来事ではないだろうか」
――2018年のレアル・マドリー以来です。
「そうだが当時はカレンダー年次で期間が区切られていて、ふたつのシーズンにまたがっていた。クリスティアーノ・ロナウドは、後半はレアルからユベントスに移籍してしまったし、ティボー・クルトワが加入したのは夏のことだった。だからレアル所属の選手として9人がノミネートされたが、授賞式当時に在籍していたのは8人だった。PSGは違う。9人中8人がシーズンを通して在籍し、そのことからもどんなに素晴らしいシーズンを送ったかがわかる」
――マルキーニョスとウィリアム・パチョを除き、9人のレギュラーが候補に挙がりました。
「ふたりはシーズンを通してPSGに貢献したわけではない。昨季のPSGを象徴する存在として思い浮かぶのはウスマン・デンベレであり、デジレ・ドゥエ、アクラフ・ハキミ、ジャンルイジ・ドンナルンマ、ヌーノ・メンデスといった選手たちだ。とりわけセンターバック以外のディフェンスの選手たちの印象は強い。特にハキミは、得点も量産したしアシストの数も多かった。またヌーノ・メンデスも、モハメド・サラーをはじめ相手のキープレイヤーをストップした。ドンナルンマも大事な試合でビッグセーブを連発した。クラブW杯決勝でチェルシーに敗れた(7月13日、チェルシー3-0PSG)から9人にとどまったが、あの大会も制していたら11人全員が候補者になっていただろう」
ルイス・エンリケがコレクティブな力に昇華させた
――PSGの強さはどこにあると思いますか。コレクティビティでしょうか。
