テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
ドジャースが不穏でも大谷翔平はどこ吹く風「ショウヘイ、モノマネいいね」熱血ベシアに“山本由伸のやり投げ”…超才能は二刀流だけでない
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byIcon Sportswire/Getty Images
posted2025/09/20 17:02
ドジャースが地区優勝に向けて苦闘している中で、大谷翔平が見せた“二刀流だけでない才能”とは
1-4と3点ビハインドの3回先頭。大谷はウェブの真ん中付近のシンカーを強振し、打球角度25度でぐんぐん伸びた打球は中堅フェンス後方のネットで大きく弾んだ。本塁打王争いでトップのシュワバー(フィリーズ)を2本差で追う49号ソロは、打球速度114.8マイル(約184.8キロ)、打球飛距離454フィート(約138.4メートル)。自身7番目の飛距離ながら、今季チーム最長で、敵地オラクル・パークでは今季最長&最速という規格外の一撃になった。
2年連続50本塁打以上を達成した過去5人はそのベーブ・ルースら球史に名を残す大打者ばかり。達成後に質問するか迷ったが、試合後にその6人目に王手をかけたことについてロバーツ監督に感想を求めると「非常に難しいこと。彼がどれだけ特別な選手かを物語っている。大きな偉業となる」と称えていた。
二刀流だけでなく…雰囲気作りでも大きな役割
この日は初回先頭での遊撃内野安打で18試合連続出塁へ伸ばし、先制の生還。直後に4失点し、さらに2回無死満塁の絶好機を逃した沈滞ムードも3回の一発で振り払った。一挙6得点で逆転した5回の打者11人攻撃には申告敬遠で参加。5点リードの9回にも右前打で出塁し、フリーマンの二塁打で3度目の本塁を踏んだ。14試合を残して昨季記録した自己最多134得点に並んだ。
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試合後、大谷の取材対応は地元ラジオ局のインタビューに限られたが「1番を打っている以上、打点以上に大事だと思っている。何とか出塁を第一に考えていきたい」と語り、本塁打については「ビハインド(の展開)だったので“まだまだここからいけるよ”とみんなそう思っていた。本塁打は数が大事だけど、飛距離も持ち味の一つ」と誇った。
いつも謙虚で冷静な大谷が「飛距離も持ち味の一つ」と話したことは意外だったが、「ヒリヒリする」9月を迎え、いつも以上に気持ちが高揚していたからかもしれない。デーブ・ロバーツ監督は試合前の予告通り、大谷の次回登板が本拠地フィリーズ戦に決まったことを明かした。ナ・リーグ本塁打王を争うシュワバーと投打で激突することになる。これ以上ないマッチアップとなることだろう。
その後のクラブハウスでは、前夜にサヨナラ打を浴びて意気消沈していた左腕タナー・スコットも試合後には取材対応中のテオスカー・ヘルナンデスを変顔で笑わせようとするなど、いつもの姿に戻っていてホッとした。試合前に大谷がモノマネでチームメートの雰囲気を和ませていたことを思い出した。投打でチームの中心であるだけでなく、雰囲気づくりでも大きな役割を担っている。この日の逆転勝利は決して偶然ではないはずだ。
由伸の“やり投げ”も…モノマネ上手という才能
ジャイアンツとの3連戦最後の14日。ナイターゲーム後のデーゲームはグラウンドでの練習を控える選手が多いが、大谷、山本ら投手陣はグラウンドに姿を現した。

