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「厳しい道を選んだほうがいい」イチローから助言も…「ハンパなく勉強して」アスレチックスからドラフト指名の21歳が“アメリカ進学”を選んだナゼ
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/17 17:02
アスレチックスからドラフト指名を受けた武元一輝。智弁和歌山高からハワイ大へ進学したが、異国での挑戦は多くの困難もあったという
「とにかく頭を使うようになりましたね。打たれたとしても、気持ちの面で引かずに勝負できるようになりました」
武元の名が全米に知れ渡ったのはこの年の夏。大学野球のサマーリーグで「最高峰」と謳われるケープコッドリーグだった。
ヤンキースのアーロン・ジャッジなど、多くのメジャーリーガーを輩出しているハイレベルなリーグで、武元は9試合に登板し3勝1敗、防御率0.71と圧巻のパフォーマンスを披露。最優秀投手に選ばれた。
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明確な実績を手にした武元が、嬉々として昨年の夏に思いを馳せる。
「ハワイだったらめちゃめちゃ二刀流でやれるんですけど、ケープコッドリーグはマジでヤバい! ドラフト候補しか招待されないんで。そういう相手に対しても攻めのピッチングを続けられた結果、ほとんど無失点に抑えられて、最優秀投手になれました」
メジャーからドラフト候補と認められても、猛者が集うリーグでタイトルを獲得しても、武元は自分を見失わない。
より、厳しい道へ。武元にとってそれは、今や自然なことであり、自己探求には欠かせないエネルギーとなっている。彼の言葉がそれを物語る。
「正直、自分の現在地とか意識していなくて。賞を獲ったとか球速をもっと上げたいとかじゃなくて、『これから自分はどうなりたいのか』しか考えてないです」
「世界で活躍する、トップを取れる選手に」
自分はどうなりたいのか?
志は常にアップデートされる。真っ先に見据えていた「MLBドラフトで指名される」ことは達成された。次になりたいものはもちろん、メジャーリーガーである。
「『最高峰のレベルでやりたい』という思いは変わらないので。世界で活躍する、トップを取れるような選手になりたいです」
MLBのドラフト指名選手で実績を挙げた日本人は、まだいない。
前例のない、険しき道。だからこそ挑戦し甲斐があるのだと、武元はきっと今を楽しんでいる。

