「お前の方が使えんわ！」電撃トレード→監督室に怒鳴り込み→伊原春樹と衝突でオリ戦力外「問題児だな」なぜ山崎武司は楽天に拾ってもらえたか 

　オリックスへのトレードに動いた井出や、楽天入りのきっかけをつくったレオン・リー。楽天では師と仰ぐ野村克也との出会いがあった。

　山崎は衝突が人一倍多く、敵も多いかもしれない。一方で、心強い味方が危機を救ってくれる。なぜ、出会いに恵まれているのか。その理由を問うと、山崎は10秒ほど考えを巡らせた。そして、1つの答えを導き出した。

「他の選手より努力したところが1つあるとすれば、まめに人付き合いしていたところです。レギュラーになるとお金もあって周りからチヤホヤされ、楽な付き合い、メリットのある付き合いばかりになる傾向があります。自分はチームメートとつるむのが好きではなかったので、二軍の頃からお世話になっていた人たちと会う時間をつくっていました」

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　現役を引退してからも仕事に不自由なく人脈も広い山崎は、後輩から相談を受けることが少なくない。戦力外通告を受けてから慌てる後輩や引退してからの人生で苦戦する後輩には、「ピンチになってから急に助けてくださいと言っても遅い」と苦言を呈す。

「シーズン後に『今年も1年、何とか野球選手でいられました』と挨拶に行ったり、用事がなくても電話したりする積み重ねが信頼関係につながります。レギュラーになったり、忙しくなったりしても、若手の頃にお世話になった大切な人たちへの感謝を忘れてはいけません。野球に長く携わるには、人付き合いも大事です」

中日残留もトレードも失敗だったかもしれないが

　第1回から取り上げた土壇場で横浜へのFA移籍を止めて決めた中日残留も、オリックスへのトレード移籍も、数字だけを見ると失敗だったかもしれない。だが、山崎は何度も再挑戦するチャンスを手にし、楽天で2度目の本塁打王に輝くなど通算403本塁打を記録。最後の2年間は再び中日でプレーして、キャリアを締めくくった。首脳陣との対立がクローズアップされがちだが、手を差し伸べてくれる味方がいなければ、3球団で通算27年もユニフォームを着続けられなかっただろう。〈第1回からつづく〉

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