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「僕の先生でした」城島健司がいま明かすイチローとの“師弟関係”「イチローさんの隣で生活していたら、時計がいらない」理由とは?
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酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/17 17:01

マリナーズでイチローと4年間をともに過ごした城島健司(左)が語った「イチローとの師弟関係」とは
「僕はまだ自分のチームの投手ですらどんな球を投げるのかわからず、捕手として自分のチームのことを優先させないといけない。正直、打撃まで手が回りませんでしたが、いつも隣でイチローさんが『ジョー、こんなピッチャーだよ、こんな傾向だよ』と言ってくれましたから。打つ方でも守る方でも僕の先生でした」
球審の傾向も教わり、リードに生かしたという。新人で144試合出場、147安打の打率.291。18本塁打は日本人の1年目シーズン最多記録(当時)だった。
「イチローさんの隣で生活していたら、時計がいらないんです。練習後、シャワーを浴びて本を読んで……イチローさんがおにぎりを食べだしたら試合の何分前、また本を読んでストレッチをし始めたら何分前だとわかる。1番打者で誰よりも最初に打席に立たなければいけない。1打席目に合わせていて、それはもう見事なものでした」
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城島は遠征先でイチローとナイター前の昼食をよくともにした。行き先も食べるものもいつも同じ。「カリフォルニア・ピザ・キッチン」では、イチローは必ずプレーンピザを注文し、4分の3だけ食べる。そして同じところにひと切れ残した。あるとき、城島は「その1個くださいよ」とねだったが断られた。もう1枚頼めという。「『1個しか食べられません』と言ったら『4分の3、残せばええやんか』って。いつものピザがワンピース、必ず同じ場所に残るのが日常なんです。味や風景が違えば、ストレスになってしまいます。そのワンピースが1打席目に繋がっていくんです」
イチローの野球に向き合う姿勢を「徹底」や「ストイック」といった表現でとらえようとしても、想像を遥かに超える事実に触れたとき、どれもが陳腐なものになってしまう。狂気にも映る一途さを前にすれば、ただただ言葉をのみこむしかない。
城島の疑問「なぜホームランを狙わないのだろう」
イチローには、あるべき自分の姿がわかっていたのだろう。打撃に向き合うスタイルには、そんな覚悟が秘められている。
試合前のフリー打撃。ほとんどの球を右翼席に放り込むイチローのバッティングは見た者の心に一生焼きつくほど圧巻だ。強打者だった城島も疑問を抱いた。
なぜ、試合でホームランを狙わないのだろう。師は決然と答えた。

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