ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「彼らが再び受賞するとは思わない」メッシでもC・ロナウドでもモドリッチでもなく…“バロンドール投票改革”ウラ側を主催編集長が明かす
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byAlexander Hassenstein-FIFA/Getty Images
posted2025/02/03 17:29
ロナウド、メッシが候補リストから消えたバロンドールで、ロドリが選ばれたことをFF誌編集長はどう捉えているのか
「その通りで、ずいぶん長い間、ロナウドとメッシを無視することが出来なかった。ロナウドが最初に獲得したのが2008年だ。以来、2人で10年間独占し続け、メッシはさらにその後3回受賞した。ここ15年のバロンドールは彼らの時代だった。他の受賞者といえばモドリッチとベンゼマだけだが、ふたりともキャリア終盤での受賞だった。
そして今、新しい世代が台頭し、2024年のバロンドールを争った。かつての受賞者たちがリストにないのも当然で、彼らは未来を切り開く選手たちではない。メッシは2026年W杯に出場するかも知れない。だがベンゼマはすでにキャリアの終盤を迎え、モドリッチもレアルに残っているとはいえ、終わりの日は遠くはない。メッシやロナウドが再び戴冠するとは私には思えない。
ただし慎重を期さねばならないのは、ふたりともまだ現役でいることだ。W杯は2年後に迫っている。彼らが何を望んでいるのか私にはわからないが、W杯に出場して祖国に優勝をもたらしたいのかも知れない。すべてが可能ではあるが、現実的には新しい時代を迎えたといえる。当然のことだが、全体のレベルも以前より上がっている」
歴史的に見て日本人はじめアジア人が候補にも
ADVERTISEMENT
――2024年の候補者はヨーロッパ人選手が圧倒的に多かったです(註:ヨーロッパ人が25人、南アメリカ人4人、アフリカ人1人)。
「それは年による。2023年はアルゼンチンがW杯に優勝したから南アメリカ人がもっと多かった。アジア人のキム・ミンジェもいた。今回、ヨーロッパ人が増えたのは、ひとつにEUROがあったし、それ以外にもヨーロッパ人たちの活躍があった。
しかしすべての賞を見渡せば、あらゆる大陸からバランスよく候補者が選ばれている。バロンドールだとアフリカからアデモル・ルックマン(ナイジェリア)。南米はビニシウスやエミリアーノ・マルティネス、ラウタロ・マルティネス、フェデリコ・バルベルデ。ヤシントロフィーではアフリカ人のローレン・ウィリアムス(南アフリカ)が、コパトロフィーでもアフリカ・ネーションズカップ優勝のカリム・コナテ(コートジボワール)が名を連ねている。
とはいえ歴史的に見ると、ヨーロッパのクラブに所属しない選手がリストアップされることはとても稀だ。国籍を問わず、優れた選手はほとんどがヨーロッパに集まる。サウジアラビアに移籍したロナウドはリストから外れたし、昨年の受賞者のメッシも、受賞時はMLSに移っていたがその前はパリ・サンジェルマンだった。後は年によって南米が多いときもあるが今回はそうではない。日本人はじめアジア人が候補に入ることもある」
投票方法が10人連記に改革されたワケ
――投票方法も5人連記から10人連記に変わりました。


